ひとりじめ

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ある日、エルザが肩に少年を担いで帰ってきた。

彼はひどい怪我で気を失っていたが、マナミアの看病のおかげで五日後には完治して、倒れていた訳を聞かせてくれた。

彼の名前はなまえと言い、元いた村が戦争によって壊されてしまったので、今まで一人で暮らしてきたそうだ。生きるために、人に言えないこともしてきたと。
でも、そのつけがまわってきて、必死で逃げたがボコボコにされてしまったらしい。

クォークが騎士を目指していることを話すと、俺も仲間に入れてくれ、と少年は頭を下げた。
断る人などおらず、新しいメンバーがこの傭兵団に加わった。
それはいい。


だが、目の前のものは何だ。

いつものように本を読もうと部屋へ入ると、なまえが誰にも触らせなかった自分の荷物の整理をしている。
その中には、男だったらあり得ない、その、下着、が置いてある。
おかしい。彼は、男なはずだ。僕と同じくらいの歳なのに背が低くて、華奢で声も高いが、自分の身長ほどの大きな薙刀を武器とする男なはずで。





『………………』

「………………」

『………見たな』

「……もしかして、君」

『…………………俺は、女だ』





この言葉が、初めてのなまえとの会話だった。






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