ルリ島の雨の日

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いきなり、ルリ島には珍しいどしゃ降りの雨が降りだした。


エルザとクォークは伯爵に呼ばれたとかでお城に行って、マナミアは調べものをしに図書館へ。そしてセイレンとジャッカルは、暇だからとユーリスを連れて闘技場に行ってしまった。

わたしは、体調が悪いアリエルのかわりに、今日1日だけこの酒場の看板娘として店番をしている。


ひとりでぼーっとしていると、さっきのやり取りが頭によみがえってきた。





「聞いてくれよなまえー! ユーリスが闘技場行かないって言うんだぜ?」

『なんで行かないの?ユーリス』

「……だって、行ったらなまえが一人になるだろ」

「おうおう、お熱いねぇ!」

「う、うるさいな!」

『……でもここにいても暇でしょ、ユーリス。行ってきていいよ?』

「………うーん…」

「ユーリス、悩むくらいなら行った方がすっきりするぞ? すぐ帰ってくるからよ、こいつ、借りてってもいいか?なまえ」

『うん』

「…………」





酒場を出るギリギリまで、心配そうな目でこちらを気にしてくれたユーリス。
彼のおかげで、こうして一人の時間を過ごしていても、寂しさはあまり感じていない。





『(でも、この雨じゃあ闘技場もあいてないよなぁ……通り雨だろうし、どこかで雨宿りでもしてるでしょ)』





しばらく椅子に腰掛けていると、眠気が出てきた。
雨は止まないし、お客さんが来る気配もないし、いいよね。
自然とカウンターに突っ伏して、仮眠を取ろうと目を閉じたそのとき。





「……ちょっと、何やってんの?」





聞き慣れた、大好きな声が後ろから聞こえてきた。







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