嫉妬の矛先



「緑ノ国を滅ぼして」



茶会が終わった次の日、精市はそう言った。


緑ノ国は彼女の住んでいる街…



「…分かったぜよ」



兵士達に緑ノ国を滅ぼす事を伝え、俺は手紙を持って城の地下へ向かう。



「潤斗!」


「潤斗先輩!」



地下へ着けば、城に譲渡品や手紙を運んだりする配送屋の制服を着た赤髪と黒髪の2人が寄って来る。



「ブンちゃん、赤也、これを比呂士達に頼むナリ」



2人に渡したのは緑色の二枚折りの紙と黄色の封筒。


それを見た2人は、苦虫を噛んだ様な表情になる



「この紙を出すって事は、もう終わりなんだな…」


「ああ。王が緑ノ国を滅ぼせと命じたからのぉ」



緑色の紙を広げれば、赤で×印が書かれている。

これは、『緑ノ国が終わる』という意味。


これは、俺の旧友へ



「お前さんらも早く緑ノ国を離れんしゃい。
青ノ国辺りがオススメじゃ」


「やっぱり潤斗先輩も一緒に行きましょう?!

死んだふりして逃げれば「赤也!!」



叫ぶ様な赤也の言葉を、ブン太が止める。



「ありがとな、赤也。
でも俺はまだやる事があるけぇ、王からは離れられん。」



赤也はまだ納得してなかったが、半場無理矢理手紙を押し付け、その場を去る。



「この黄色の封筒、邑先輩にッスよね…」


「…だろうな」


「何で偽りの愛は結ばれて、本当の愛は結ばれないんスかね…?」



赤也は俯き、下唇を噛み締める。

その頬には涙が一筋伝う。



「運命…だろぃ」



先の方を歩き、赤也に振り向かずにそう答えたブン太。

握る手紙にはシワが寄った…






「潤斗」


「何じゃ?」



兵士の準備は終わり、後は緑ノ国へ攻め込むのみ。


そんな時、精市は俺に告げた。





『帰って来て』と。




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