慣れないフラグを立ててみる。
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潤斗と忍足に落ちつかされ、自分の位置に戻された邑と跡部。
『全員揃った様だな、これから合宿の説明を始める』
そうマイクを取った跡部に全員が一応注目するが、邑は絶対に視線を向けない。
そして跡部も邑の方には絶対に向かない。
「ガキかお前ら」
何処からかそんなツッコミが来たが、それでも視線をお互いの方へ向けない。
『…まず部屋割だが、一人一部屋だ』
「一部屋って…」
「こんくらいで驚いたらいかんよ、赤也。
中に入ったら一体何処のディ〇ニーホテルだっていうぐらいの豪華さじゃよ?」
「Σマジっすか!?」
「ディ〇ニーホテルは一つしかねぇよぃ」
話している内に施設内の話に入っていたが、当然の事ながら説明が右から左へ流れていく者も多い。
『まぁ分からなきゃ知ってる奴と一緒に行動しておけ。
そして一つ報告だ。今回はお手伝いさんが泊まり込みではない。
そこで…』
その時初めて跡部が邑の方を見た。
邑もそれに気付いて視線を向けるが、次の瞬間にはキョトンとした表情に変わった。
『美舞、お前が朝食を作れ』
「は………はぁ?!!」
が、すぐに復活し猛反撃に出た。
「ふっざけんな!
作るのはマネージャーの仕事だって言われれば構わないが、一体何時起きだコノヤロー!!」
『何も一人でやれとは言ってない
各校から一人か二人連れていけ』
「じゃあお前も強制参加だ!」
『断る』
「あぁ゙ん?」
『アーン?文句でもあるのか?』
「文句しかねぇよ」
しばらく睨み合い、潤斗と忍足が「手伝わなきゃいけないんだろうな」と思い始めた時、溜め息と共に白石が声を上げた。
「君たちえぇ加減にせぇよ…ι
俺も手伝うし、美舞さんもそれでえぇやろ?」
「あら蔵リン優しいV」
「浮気か!?」
「(単体だったらまともなことを祈ろう…)
ありがとうな。
じゃあ俺と潤斗と忍足に白石になるが…まぁ4人なら大丈夫か。」
「このメンバーなら大丈夫じゃなか?」
「いや、顧問の先生らの分があるからもう一人ぐらい欲しい所や。
ここの厨房めっちゃ広いから増えても問題あらへんよ?」
「予想はしとったが、二人共動じんなぁ…」
話を進めていると、また一人が手を挙げた。
「もう一人必要なら、俺手伝います。」
「日吉が手伝うなんて珍しいなぁ、ええよな、邑ちゃん」
「ああ、よろしく頼むな
(おっしゃぴよし!ぴよし好きで良かった!!)」
「(邑…ι)
跡部、もう話進めてよかよ」
内心ガッツポーズをしている邑を落ち着かせて、跡部に促しながら元の場所に戻る。
「朝飯ってさ、10分で出来るかな?」
「前日に仕込みしとけば出来るんじゃなか?」
跡部の話を聞きながら邑に苦笑いを返す潤斗は、もう一度日吉の方へ視線を向ける。
「(日吉、か…そういえば…)」
潤斗は今、邑が生前テニプリ片手に「日吉が!」って言って興奮していた事を思い出していた。
「(見とらんかったからよう分からんかったが、邑を取られたみたいで少し嫉妬しちょったな…)」
さらに苦笑いを深くして、跡部の話を聞く日吉の横顔を見る。
ふいに日吉もこちらを見て、慌てて目を逸らしたが。
「お前さ、人見知り直そうぜ?」
「難しい要求じゃのι」
その後、部屋決めで壮絶なジャンケン大会が開かれたとか…
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