泣いて笑ってバカやって、そんな日々を愛しく想う | ナノ











月を   



見つけた










『姉ちゃん、いつ帰ってくるんだ?』

『んっとね、三日後かな』

『ほら、準備出来たんなら早く寝なさい!明日早いんでしょう?』

『父さんお土産楽しみにしてるからなー』

『任しといてっ!!』

『ちゃんと買ってこいよな!約束だぞ』

『はいはい』







《 昨晩、東京都のある一家が連続殺人犯に襲われました。たまたま修学旅行に出ていた長女のみ助かったのですが、他は皆殺しにされ遺体が見つかっています。現在、警察は犯人の捜索に力を入れていて―――― 》





私が、何したってのさ。



何で、恨まれる様なことしてないのに私の家族が殺されなきゃいけないわけ?




普通の家庭だったじゃん。


成績下、運動神経だけが取り柄の私と

成績人並みの、サッカーと漫画が大好きな弟

ご近所付き合いバッチリで、厳しいけど嫌いになれない主婦のお母さんに

サラリーマンで家では駄目駄目だけど、意外にも会社では課長のお父さん




よくぶつかって、喧嘩ばっかで、たまに暴力沙汰起こすけど、

ちゃんと分かってる、これがうちのスキンシップってもので、

みんな、家族を好きなんだって。


そーいう、どこにでもいそうな家族だったんだよ。






幸せだった。


それが見事にブチ壊れたのは、中3の春。



親戚もおらず身寄りのなくなった私は施設に預けられたけど、なんか何もかも嫌になって



死んでやりたかった。
大好きな人達を追いかけたかった。









『“人の一生は重き荷を負うて遠き道を往くが如し”』



『荷物ってんじゃねーが誰でも両手に大事に何か抱えてるもんだ。だが担いでる時にゃ気づきゃしねー』

『その重さに気づくのは全部手元からすべり落ちた時だ。もうこんなもん持たねェと何度思ったかしれねェ。なのに…』




『またいつの間にか背負いこんでんだ』


『いっそ捨てちまえば楽になれるんだろうが、どーにもそーゆ気になれねー』





『荷物がいねーと、歩いててもあんま面白くなくなっちまったからよォ』










絶望のどん底にいた私


そんな私にとっての光は、貴方だったんだ。





漫画の人物に惚れるなんていったら、おかしいかもしんないけどさ、

不器用なりに仲間大切に思ってる貴方が、凄く素敵に思えたんだ。


貴方の仲間は、凄く羨ましく思えたし、

家族のような、そんな万事屋の関係はどこかうちと重なって見えて、泣けてきたんだよ。



だらしなくて、ジャンプ卒業出来なくて、糖尿寸前の甘党で、死んだ魚のような目してる、これジャンプの主人公で良いの?全国のジャンプファンの子供の夢壊すじゃん、みたいな人だけど


やるときはやってくれる、そんな貴方を好きになったんだ。





死んだ魚のような目もたまに輝いてる

銀色の髪も闇夜の中ではいっそう輝いて見える


何だかんだで、貴方の行動や言動に私は沢山救われちゃってるんだ。







両思いなんてなれるわけないし、

寧ろ会話だって出来るわけないし、

相手は私のことなんて知るわけがないけど、


それでも、私は好きなの。




──…好きなんだよ、銀さん







太陽じゃないんだ。


太陽は、笑顔とか輝く明るくて熱い人のイメージあるから。



だからね、銀色の髪が夜に栄えるから




銀さんは、私にとっての月なんだ。













太陽を



 見つけた













『銀、あたしさぁ、子供好きなのよね』

『あぁ?何、あんな我が儘で自分の事ばっか考えてギャーギャー泣き出すわ騒ぐわの子供が良いわけ?』

『うん。それが自分の子って考えると、可愛いと思うのよ』

『マジでか』

『マジでだ』



『それでさ、銀』

『ん?』



『あたし、銀の子供が欲しいわ』



『………はい?』

『…ねぇ、女からのプロポーズって凄い恥ずかしいんだけど。これ以上言わせるわけ?』

『……………』

『……コノヤロー』




『この戦争終わったらさ、結婚してください』










別に今まで夢を持って生きていたわけじゃねー。


ただ、愛する女が側にいてくれるんなら、それで良いと思ってたわけだ。


他は何も望んでねーよ。


現実がそんなパフェみたいに甘いもんじゃねぇってのもちゃんと分かってたつもり。


分かってた、ちゃーんとな。



けどよォ、




俺の唯一無二の幸せまで、奪わなくても良いと思わねーか?









『おい…っおい、目開けろ。何寝てんだよ、眠ってる場合じゃねぇだろ』

『銀時』

『侍が刀捨ててんじゃねぇよ、お前はまだ戦えんだろ?な?』

『銀時』

『おま、約束どーしてくれんだよ。戦争終わったら幸せな家庭作るんじゃなかったのかよ』

『銀時』

『俺あの時程…ッ子供に感謝したこと、ないんだぜ?』

『銀時、』



『もう、死んでる』








笑えねーよなァ。




こんな戦争、やってどうなんだよ。


大事な奴もいない、幸せも見えない未来の江戸を守る程、俺は優しくない。



やってられるか。



江戸の為に戦うつもりはもう更々無ぇ。


…けどまぁ、死ぬつもりもねーんだけど。




だって、死んだらお前は怒るだろ?





『美しく最後を飾り付ける暇があるなら、最後まで美しく生きようじゃねーか』




なんたってお前に救われた命だ。

それを捨てようとは思わねーさ。




まぁ 一からやり直すなんて、軽々しくは言えないけどよ


刀は、捨てた。

随分と血も浴びてねぇ。


数少ない幸せの糖分とジャンプ糧に生きてたら、何か色々手に入れてたんだよ。




お前が、闇にいる俺を照らす月ってくさく例えてみれば、

まー…奴らは星ってところだ。


お前には随分劣る光だけどよ、大切なんだわ。



前みたいに失うことはしたくねーから、俺らしく生きてみようと思ったわけ。



沢山の星と喧嘩して馬鹿やって、くだらねーことで笑って
やっぱりお前が隣りにいないのは寂しいけどな、結構楽しんでんの、今。

どんなに綺麗な女見付けてもやっぱりお前には劣るんだわ。
俺は、死ぬまでお前を好きでいられる自信があるぜ。






『私銀さんが好きなんです!!』






けどよ、今の生活楽しんでたら、随分ウザイ奴と出会っちまって



急に現れて、急に迫ってきて、急に告白してくる。

馬鹿通り越してある意味すげーぐらいの女。

流れでうちにいるけど、なんか無駄にアピールしてくるし寝てるうちに布団入ってくるし俺見てる時ニヤケてるし


本気と書いてマジと読む程キモイしウザイ。




──…どれだけ突き放しても、ついてくるんだよ。

どれだけ冷たくしても、俺のこと好きでいんだよ。



絶対に、俺に笑顔を向けるんだよ。






今まで闇にいた俺に光を差し込んでくれたのはお前だ。

月が無いなりに光の中にいれたのは…アイツらのおかげだ。

薄暗い、俺の今の世界に足りないもの


見付けた気がする。






誰でも、明るくさせるような太陽











僕にとっての

私にとっての





銀魂原作沿い

1月更新開始予定