「よかったじゃねーか、嫁のもらい手があってよォ」 ある日お妙さんが相談に来た。それはゴリラにストーカーされていて、結婚してくれと言われ続けているとのこと。 ピンときた。近藤さんだ。近藤さん初登場の回だと。 中華料理屋に来た私たち。正面には新八とお妙さんが座り、横ではパフェを食べる銀さんと巨大ラーメンを食べる神楽が座っていた。 「帯刀してたってこたァ幕臣かなんかか?玉の輿じゃねーか本性がバレないうちに籍入れとけ籍!」 「それどーゆー意味」 言葉に気をつけないのでお妙さんにより銀さんはパフェに頭を突っ込まれた。食器割れる音したけどこれ誰が弁償するんだろう。 とりあえず私はお妙さんに近藤さんの良さについて語ってみることにした。 「お妙さん、近藤さん良い人だよー人間として信頼も得てるし良い人だよー」 「けど陽ちゃん、ストーカーよ?」 「ストーカーでもゴリラでもほら、お妙さんは仕事してる時の近藤さん見たことないから。いざという時はやっちゃう人だからあの人」 「そんなこと言われても…役人のくせにストーカーよ?」 「姉上、ストーカーしか言ってません。…というか陽さん、もしかして知り合いですか?近藤さんって…名前まで」 「……ソンナ気ガシタダケダヨ!!」 「この人嘘超下手なんですけど」 やっべえまだ近藤さんって名前登場してないんだっけ!?ていうか普通に近藤さんの良さ語ってる時点で知り合いって思うか!やばいよどんどん怪しまれちゃうよ!ジッと見る銀さんに 視線をあわせられないよ!そんな見つめないでよ照れるじゃない!ドキドキするじゃない! 「…最初はね、そのうち諦めるだろうと思って大して気にしてなかったんだけど……気がついたらどこに行ってもあの男の姿がある事に気づいて、ああ異常だって」 「ハイあと30秒」 「ハイハイラストパート。噛まないで飲み込め神楽。頼むぞ、金持ってきてねーんだから」 「きーてんのアンタら!!」 大きな丼ぶりを持ち上げてスープを飲み干そうとする神楽を横で応援する銀さん。全然話聞いてないよこの人。 まぁ確かにこれ食べきらないとお金払わないといけないもんね。 お店の親父さんがストップウォッチを片手に神楽とそれを交互に見ている。あと30秒…食べてもらえないと私的にも家計支える身としては困る! 銀さんは新八に怒鳴られ、眉を寄せながら正面にいる姉弟を見つめた。 「んだよ、俺にどーしろっての。仕事の依頼なら出すもん出してもらわにゃ」 「銀さん、僕もう二ヶ月給料もらってないんスけど。出るとこ出てもいいんですよ」 「ストーカーめェェ!!どこだァァァ!!成敗してくれるわっ!!」 16歳に良いように扱われてる20代の大人ってどうなんだろうか。いやまぁそんな銀さんも好きなんだけどさ。そういう駄目な大人なのに真っ直ぐでやる時はやってくれるところがいい んだけどね!! 「なんだァァ!!やれるものならやってみろ!!」 「ホントにいたよ」 銀さんの声に馬鹿正直にテーブルの下から現れたのは近藤さんだった。 ていうかこの人今ストーカー呼び出したところで登場しちゃったよ。自分でストーカーって認めてるよこの人。 いやでもまぁ生近藤さんだよ!近藤さんも結構好きだよ私! まぁ結局は【近藤さん<<<越えられない壁<<<銀さん】だけどさ! 「ストーカーと呼ばれて出てくるとはバカな野郎だ。己がストーカーであることを認めたか?」 「人は出会いを求め追い続けるストーカーよ」 「ッヒュー!カッコイー!」 「え?そう?君分かるねぇ!」 「愛してるぜー!ストーカーだろうとゴリラだろうと貴方の心意気が好きだぜー!」 「えぇぇ!そんなこと言ってもらえたの初めてだよ俺!!え、でも俺にはお妙さんが…っ!」 「陽さんちょっと黙っててもらえません?」 せっかく盛り上がってたのに新八に冷たく言われてしまったよ。…新八ってツンデレなんじゃないかな。たまに思うんだけどさ。 優しいんだけどたまにきついんだよね。基本自分がやられる側だから優しいんだけど、でも何かこう…ピシャリと言い放つことがあるよね。ツッコミの一種だからしょうがないのか。 あれ?それじゃツンデレじゃなくてデレツンじゃないか? 「ときに貴様、先程よりお妙さんと親しげに話しているが一体どーゆー関係だ。羨ましいこと山の如しだ」 「許嫁ですぅ」 お妙さんは見事な営業スマイルを見せて銀さんの腕に抱きつく。 「私この人と春に結婚するの」 「そーなの?」 「もうあんな事もこんな事もしちゃってるんです。だから私のことは諦めて」 「銀妙ですね分かります」 「あ…あんな事もこんな事もそんな事もだとォォォォォ!!」 「いや、そんな事はしてないですよ」 「そんな事ってどんな事でしょーか」 途中途中で色々口を出してみるけど誰も反応くれない。何か私スルーされてばかりなんだけどどういうこと?イジメかなコレ。そのうち心折れて泣く気がする。 「いやっ!!いいんだお妙さん!!君がどんな人生を歩んでいようと俺はありのままの君を受け止めるよ。君がケツ毛ごと俺を愛してくれたように」 「愛してねーよ」 近藤さんはそんなお妙さんの言葉も聞かずに銀さんを指差す。 「オイ白髪パーマ!!お前がお妙さんの許嫁だろーと関係無い!!お前なんかより俺の方がお妙さんを愛してる!!」 「決闘しろ!!お妙さんをかけて!!」 04-01 |