泣いて笑ってバカやって、そんな日々を愛しく想う | ナノ






「俺が以前から買いだめていた大量のチョコが姿を消した。食べた奴は正直に手ェ挙げろ。今なら3/4殺しで許してやる」
「3/4ってほとんど死んでんじゃないスか。っていうかアンタいい加減にしないとホント糖尿になりますよ」
「私は糖尿の銀さんでも愛せます!!いつでもバッチコイです!!」
「またも狙われた大使館、連続爆破テロ凶行続く…物騒な世の中アルな〜私恐いヨ、パピーマミー」



こんにちは皆さん常磐陽です。
よく分からないうちに銀魂世界にトリップしちゃった私は何とか銀さんの家に住ませてもらえることになり、スナックお登勢でバイトをしながらの生活で一週間が経ちました。

熱はすっかり下がって元気になると、今まで占領していた銀さんの布団を本人から追い出され、仕方なくソファで眠る生活を送っています。
無理に住ませてもらってるから文句言えないんだけどさ…でも普通女の子に布団譲らない?まぁいいんだけどさ、たまに夜這……ゴホン、銀さんの布団勝手に入り込んで一緒に寝てるから。翌朝殴られるけど気にしない!


だんだんここでの生活に慣れてきた頃、万事屋ではそんな会話が繰り広げられていた。
記憶力良くない私だけど、聞いたこのある会話だなあと頭の片隅で思う。まぁ記憶力良くないから何の話だったか分からないんだけど、でも多分漫画の内容だ!



ドカン


…と、私が考えているうちに何かぶつかる音が聞こえた。口で言うと間抜けな擬音だけど、結構大きい音だった。
銀さんが外へと様子を見に行くのを私たちもちょこちょこと付いて行く。



「事故か…」



…どうやら一階のスナックお登勢にバイクがぶつかったらしい。
店の戸が壊されてお登勢さんは酷くお怒りの様子だ。


「ス…スンマセン、昨日からあんまり寝てなかったもんで」
「よっしゃ!!今から永遠に眠らしたらァァ!!」
「お登勢さん怪我人相手にそんな!!」


今にも殴って事故った人を殺しそうなところを新八が慌てて止めた。お登勢さんも何とか落ち着きを取り戻したのか、男の人を解放して腕を組む。
新八はぐったりと倒れる男の人をしゃがんで見下ろした。


「…こりゃひどいや。神楽ちゃん救急車呼んで」
「救急車ァァァアア!!」
「誰がそんな原始的な呼び方しろっつったよ」


辺りで散らばってるのは手紙。どうやら郵便屋さんだったみたいだ。確かここの世界では飛脚って言うんだっけ?

手紙を見て飛脚だと気付いた銀さんに、男の人はある小包を苦しそうに体を起こしながら渡して来た。


「っこれを…俺の代わりに届けて下さい……お願い。なんか大事な届け物らしくて、届け損なったら俺…クビになっちゃうかも。お願いしまっ…」
「おいっ!!」


──あ、思い出した。



「銀さん銀さん!それは爆弾が入ってんだよ確か!だから届けちゃ駄目だよ犯人扱いされちゃうよ!」
「はあ?」



この後面倒なことが起こるんだと、漫画の内容を思い出した私は何も考えずに思い切りネタバレを話していた。
挙手する私に冷たい視線を向ける銀さん。…本当この人容赦ねえ。
心を強く持つんだ陽!


「あーもう、面倒くさいけどしょうがねえ。このアホ女はほっといて行くぞお前ら」
「え!本当だってば!」


…いや、でも待て。ここで銀さん達に届け物をさせないとストーリーが変わっちゃうんじゃないかな?
だってこの後は──…
その話が無くなっちゃうのかな?それはまずいよね、うん。
ていうかネタバレとか…やっぱ言わない方が良い…かな。未来分かるとか気味悪がられるし、まず分かっちゃうのはいけない気が…する。


歩きだした銀さん達を見て、私はこの後が分かるだけに悶々としながら大人しく付いて行くことにした。








02-01