泣いて笑ってバカやって、そんな日々を愛しく想う | ナノ







「…で、雨振る中ずぶ濡れでいたこの人を連れてきたわけですか」



差し出された温かいお茶を飲み一息つく私。はぁ、冷え切った体には良いですなあ。心も温まるぜ。

ソファに腰掛ける私の前には、何ともいえない表情で私を見る新八。生新八!生眼鏡!
新八の横には生神楽!そして私の隣には 生 銀 さ ん !!
何かもう私死んだかよく分からないけど幸せだからおkです。グッジョブ神様!


「いや…だってコイツ、帰るとこ無いっつーから。この雨の中出しとくわけにもいかないじゃん?」
「銀さんと相合傘をしましたー
「あの…名前は?」


銀さんと相合傘をした幸せな時間を思い出してニヤける私に、新八が恐る恐る訊ねてくる。
私は湯のみを手に、もう片方の手を垂直に挙げて名乗った。




「常磐陽でっす!!是非陽と呼んでください!!」




テンションがあがりまくりな私は、普段でも中々ないような元気な声で自己紹介。
新八は私のテンションに付いていけてないのか「はぁ」と曖昧に頷くだけ。



「銀ちゃん、そんで陽をどうするアルか?」
「どうって言われてもなぁー…お前どこの人?」
「日本です」
「いやそれは知ってるから」
「東京です」
「は?」
「銀さん達とは違う異次元の人です」



普通に異次元とか言っちゃったけど、大丈夫かな?寧ろ私どうなっちゃったんだろう。
これは夢?夢なら覚めないでほしいな、こんな素敵な夢。いやしかし夢にしてはずいぶんリアル。雨もその感触もお茶を飲んで温まる感じも。



「………異次元て…貴女、何言ってるか分かってますか…」
「分かってますよー。なんなら証明してあげましょうか?」
「は?」


疑いの視線を向ける新八と銀さん(神楽は平然としてる。流石!)を見て、私はどう証明してやろうかと考える。
とりあえずまだコイツらは私が自分らのこと知らないと思ってるはずだよね、だったら



「例えば新八は、お父さんが亡くなってから道場復興のためにここで働いてる」

「神楽は夜兎族の一人で故郷に帰るお金を貯める為にここで働いてる」

「銀さんは、甘党で糖尿病寸前でジャンプをこよなく愛する自称心が少年の、本当は凄くってやる時はやってくれる超格好良い人」


(何か銀さんの説明だけ力篭もってるんですけど)



新八がそんなこと考えてるなんて知りもしない私は、とりあえず最低限の設定のみを話しておいた。
今が原作でいう何巻辺りなのか分からないので、一応はネタバレ自重してみた!


「陽、何で私達のこと知ってるネ」
「だって……ファンだから?」


まぁ間違ってないよね!ファンだから君達のこと知ってるわけだし!

嘘はついてないよ!


だけど新八と銀さんからは疑いから不信なものを見るような目で私を見ている。あれえ?逆効果だったかな?

まぁ、気にしてる場合じゃないね!こういうのってやっぱ積極的に攻めなくちゃ駄目だよね!




「異次元にいたので!私この世界に帰る場所無いんです!お願いします、ここに住ましてください




大チャンスじゃん?よく分からないけどとにかく銀魂の世界にいれてるっぽいんだし。これを逃す手はないっしょ。
やっぱりここは万事屋に住んで銀さん達と関わりを持たないと!

まぁ何だかんだで優しい銀さんだし、きっと「一人増えても変わんねーよ」と言って住ませてくれるはずさ!





「やだ」







――おっと








01-03