泣いて笑ってバカやって、そんな日々を愛しく想う | ナノ






ゲームの予約して予約特典にもゲームの発売日にもウキウキワクワクし、
銀魂の新巻も購入出来てwktkしっぱなしな私は、周りの目も気にせずスキップしながら帰宅してました。
この数ヶ月間どれほど今日を楽しみにしていたことか!傍から見たら痛い子だけど実際痛い子だからそんなこと気にしないよ!



交差点で信号が変わったので足を止める。
ここらへんは車の通りが多くて中々歩行者用の信号に変わらないんだけど、今日の私機嫌いいから許しちゃうよ。

大人しく、だけど頭の中音楽でも流しながら信号が青に変わるのを待っていると、同じく信号を待っていた隣から会話が聞こえてきた。



「あはは!こら、ポチ、おとなしくしなよ」
「ちゃんとリードを握ってるのよ」
「うん!」



小さな男の子が犬のリードを握っていて、横にはお母さんだろう女の人もお父さんだろう男の人もいた。
…皆で仲良く犬の散歩か…仲良いのは良いことですね。



(………)



…別に…羨ましいとか思ってないし…

私には銀魂があるから、いいし…
あと約一ヶ月待てば、ゲームだって発売するし…
今日だって銀魂の新巻読めるし…



「お父さん!こんどはいつおやすみもらえるの?」
「今仕事が落ち着いてきた頃だからなーきっと大輝が良い子にしてたら早く休みになれるさ」
「大輝がお勉強頑張ったら今度遊園地連れてってあげるからね」
「うん!ぼくがんばる!」


遊園地とか羨まし…くないし…
ジェットコースターとか大好きだしぶっちゃけ甲高い声の鼠や愉快な仲間達のパレードとか超好きだけど
でも一人じゃ行けないし

一緒に行って楽しめる人とか、いないし



「………」



いやいや落ち着け私。
ついさっきまでスキップする程喜んでたのはどこのどいつさ。
鼠たちもジェットコースターも好きだけど私には銀魂がある。銀魂あれば全てよし。浮気ヨクナイ。


うん!そうだよ!
私には銀さんがいるじゃないか!




「あっポチ!待って!」
「大輝!!!」




愛しき天パを思い出していた私の耳に入ってきたのは、男の子…大輝君の声と、ひどく焦ったようなお母さんの声だった。
ハッとした時、未だに信号は赤だというのに走り出した大輝君。彼の手に握られていたはずのリードは、今は走って道路を横断する犬に引きずられている。

何も考えず、道路へと飛び出した大輝君を、お父さんもお母さんも止められなかった。




「―――ッ!!」




そして何も考えず、持っていたバッグも放り捨てて走り出した私。

鳴り響くクラクションの音に足を止めて呆然と立ち尽くす大輝君へと、必死に手を伸ばした。



小さな背中に手が届き、力の限り押す。大輝君はそのまま道路の反対側の歩道へと転がった。
大輝君を押し出すためにとダイビングをした私は、そのまま道路にうつ伏せに倒れる。横を見れば大きなトラックがすぐそこにいた。



ああ――私、死ぬのか。










01-01