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sweet nothings


誕生日おめでとう、英智。
お誕生日おめでとうございます、英智くん。
おめでとうございます、天祥院先輩。

おめでとう、おめでとう……。あなたは今日から、十八歳だ。

今日一日で何度もかけられた祝福の言葉を脳裏で何度もリピートする。僕は今日、十八歳になった。ね、だから名前、そんなに震えて僕を嫌がらないでほしいな。

「あっ……いや……、やだ、英智っ! 生はだめっ」
「なんで? 朔間くんと初めてセックスしたとき、ゴムなんてつけてなかったよね?」
「あ……あれは、……急に、だったから……」

名前はまだあの出来事がショックでたまらないのか、初体験の話をすると急に大人しくなる。兄のような存在、兄妹のような関係。それを、愛する朔間くん自身の手で粉々に打ち砕かれた衝撃は如何ほどか。

まぁ……僕も彼女の期待を打ち砕いた点では、大差ないのだけど。

そんなことを思いながら、彼女の細い脚を掴んで少々手荒に開く。既に僕の施した愛撫でとろとろに蕩けたそこは、ピンク色の初心なひだをひくひくと蠢かせ、そこを埋めるモノを欲している。わざわざその誘いを無碍にするほど、僕は欲の薄い男ではない。いやいやと首を振る名前を無視して、あっさりとそこへ腰を沈めた。

「あ、あぁっ! らめ、なまいやぁっ、きもちよすぎて……っ」
「気持ちよすぎて怖い?」
「んぁああっ!?」

腰がどんどん引けていく名前を諫めるように、腰を掴んで思いっきり打ち付けた。パンパンと乾いた音が響くのはなんだか滑稽な気もしたけれど、構っていられない程度には行為に溺れてしまっていた。激しく打ち付けているうちに、陰茎の先端が子宮口にあたったようで、彼女ははくはくと唇を動かした。余りの快楽に、言葉を忘れてしまったように。

「あっ! ひぁ! や、えいち……も、とまってぇ……」
「気持ちいいみたいだね、名前……もう限界?」
「っ、あああ……ひ、とまって……い、イっちゃう……ぬいて、ぬかないと……赤ちゃんできちゃう、からぁ……」

黒い瞳が涙で滲んで、残りかすの理性で僕へと静止を訴えてくる。ゴムを着けろだの抜けだの、いつも以上に抵抗してくる……それを鑑みるに。

「なるほど、危険日なんだね?」
「っ――」
「ふふ、そっか。僕の誕生日が、君のいちばん妊娠しやすい日に重なってるんだね」
「…………え、いち……」

さぁぁ、と名前の顔から血の気が引く。――大当たりといったところか。

「や……そ、そうだよ……だから……遊んでる女が妊娠したら、困るよね? ね、お願い……抜いて……」
「……遊んでる?」
「っ!」

思った以上に自分でも低い声が出て、びっくりした。
それと――名前の愚かさ加減にも。

僕は朔間くんとは違って、危険なゲームにはこれっぽっちも興味なんかない。命の灯の弱い僕が、無駄な行為にいそしむとでも思っているのだろうか。

まぁ、本当は名前だって分かってるんだろうけど?

「――違うよね、名前。君は、僕と朔間くんに『遊んでる』って宣告されるのを、ずっと待ってるんでしょ」
「…………」
「ひどい子だよ、まったく。僕はこんなに、名前を愛してるのに」
「っ……」

チープな台詞も、僕が放てば彼女には泥のように重たい言葉に変わる。だって、純然たる事実だ。彼女が最も嫌で、逃げたくてたまらない、現実だ――。

「ねぇ、名前。僕はね、今日で十八歳になるんだよ。だから、今日から君を孕ませてしまっても、何も責任問題はなくなるよ?」
「は――」
「結婚して。この薄いお腹に、忌まわしい『天祥院』の呪いを宿す子を孕んで? ううん、孕ませてあげる」
「や……ま、うそ、あっ、ああっ! はひっ、うぁ……」

ずるずると陰茎を入り口のほうまで引き、また一気に挿入する。何度も何度も子宮を突き上げられ、名前は喉をひきつらせた。白くて細い脚が、痙攣していく。僕の方も吐精感が急に高まってきて、ぽたぽたと汗が名前の肌へと零れ落ちていった。

「愛してる。君が好きだ、名前……っ!」
「あ、あああっ!? や、らめぇっ! ほんとに、イっちゃ……」
「っ!?」
「あ、イ、イくっ……! あぁーっ!?」

僕の言葉に呼応するように、名前が悲鳴のような嬌声を上げて達した。その締め付けに逆らわず、欲望のままに名前の子宮に精をどっぷりと放つと、名前は「あ……あぁっ……」と、歓喜とも絶望ともとれる声を上げて、腹に広がる熱に感じているようだった。

その光景の余りの甘美さに、気が付けば僕は名前の唇を貪るようにキスをしていた。零れ落ちる吐息すら甘く、でも少ししょっぱかった。……涙の味だ。

「……っ、ふぁ……えいち、」
「……ふふ、淫らな顔だね。本当に、それが友達に対して向ける顔?」
「いじわる言わないでぇ……っ」

とろんとした瞳で、名前が見上げてくる。

「おねがい……もう良いの……きもちよくして、えいち……」
「――」
「なんにも、かんがえたくない……。零さんも呼んで……、零さんにも、おなかに出してもらいたいよぉ……」

薄いお腹を撫で、兄だったモノの精液を乞う少女。余りにも淫靡で、退廃的で、涙が出るほど――僕の支配欲を満たしてくれた。

思考を放棄した、完全に僕らへ跪いた顔だ。もう騎士なんか眼中にない。少女はついに、天使と悪魔に『殺された』のだ。

「……っふふ、ああ……名前、僕の可愛い名前、やっと受け入れてくれるんだね。……あの悪魔と一緒なのは癪だけど」

けれど、受け入れてくれた。
その奇跡を、奪い取った幸福を盃に入れ、飲みほしてしまおうか。
――女の望みを、叶えよう。