ギャップルールが弱点眼鏡。
それは知的キャラの代名詞としてもつかわれる。例えば敬人とか典型的なアレだ。彼、その割に意外と抜けてる部分もあって可愛いんだけどね。
なんてことを思いつつ、私は彼を見ていた。改めて注視する必要がないくらいに見慣れた彼ではあるが、それでもガン見してしまう。
だって……だって!
「め、眼鏡っ……レオが眼鏡かけてる……ファーストインパクト!」
「は? 何言ってんだ、名前〜?」
私の声……というか奇声を聞き取ったレオが振り返る。普段は直で見える翡翠の瞳は、今はガラス一枚隔ててきらりと知的な色を見せている。うっ……普段眼鏡かけない人が眼鏡をかける衝撃……これをファーストインパクトと人は呼ぶ……どっかのゲームで習った……!
……それにしても、である。
レオって、こんなに眼鏡が似合うのか……想定外だよ……! 服に着られるならぬ眼鏡につけられる? タイプかと思ってたのに……こ、こんな……まるでこれでは、本当にお兄ちゃんみたいだ……!
とかなんとか、脳内で茶化さないとやっていけないレベルだった。気が抜けると、頬に体中の血が巡っていきそうなくらい……言いようもないくらい……うん。その、格好いいので。
「おまえ、おれの眼鏡にそこまで喜んでるけどさ〜。おまえはつけないの?」
「へっ? 私?」
私の眼鏡とか誰得……というか地味が輪をかけて地味になるだけなので、丁重にお断りしよ、
「ってレオ!? ち、近い近い!」
「いつもこれくらいの距離で喋るじゃん?」
「そ、そうだけど!」
ずいっ、と寄せられるレオの綺麗な顔。紺色フレームがよりシャープな雰囲気を作り上げている。たとえいつもこの距離で喋っていたとしても、いつもとは違うレオに、無駄に視線がウロチョロしてしまう私だった。
それに気づいているのか、レオは意地悪くクスクスと笑っている。もちろん、顔の距離は離さず!
「ふふん。おまえ、ホントにこういうギャップに弱いな〜?」
「う、うぐ……よくお分かりで……」
「知ってるよ。学院のことなんかは知らないけど、名前のことならなんでもな……♪」
「零さんの真似! からかわないで〜!」
「わはははは☆ まあでも、おまえにも眼鏡かけてみてほしいってのはほんとだぞ〜? もちろん『Knights』モデルを、だけどな?」
ぐいっと眼鏡をあげるレオ。その動作にさえ見惚れている私は、相当レオに踊らされているのだった……。
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