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『UNDEAD』とクリスマスイブ



「ちょっとちょっと……朔間さん、何抜け駆けしてる訳?」
「おい羽風先輩、なんで俺らまで呼ぶんだよ」
「まぁそう言うな大神。先輩に付き合うのも後輩の務めと聞いた」
「そんな常識知ったこっちゃねえな!」

薫が建物の陰からそっと零を……いや、正確には零と名前を見つめている。そしてその後方で、文句を言っている晃牙と、窘めるアドニスという状況だ。

「というか、大神くんだって気になるでしょ〜? 名前ちゃんと朔間さんが、夜の七時に一緒にいるんだよ? 買い物デートだけで済むか怪しくない?」
「はっ!? 吸血鬼ヤロ〜、名前に何かするつもりなのかよ!?」
「可能性としてはあるでしょ。ほらほら、二人ともこっち来て監視しなよ!」
「……監視は少し気が引ける」

そう言いながらアドニスと晃牙も壁からそっと二人の方を窺った。
零と名前は今、なにか雑貨店のような店の前で立っている。

「おお、これはどうじゃ愛し子や。お主にきっと似合うぞい……♪」
「わあ、なんて可愛いんだろう! ファーをあしらったほぼ前が全開の上着、膝上十五センチのスカート、確実に胸元が見える襟ぐり! 超前衛なサンタコスチュームだねっ、零さん!」

「はああああ!?」
「大神、声が大きいぞ」
「ああ!? んなこと言ってる場合か! あのバカ、まんまと吸血鬼ヤロ〜に騙されてやがるっ! 今すぐ助けに行かねえと」
「いや待ちなよ大神くん」
「んだよ!?」
「あの衣装良くない? このまま見なかったことにして、明日あれを着て貰おうよ♪」
「こんの色ボケ野郎! ふっざけんじゃね〜!」
「お、落ち着け大神。あまり騒ぐと名前先輩と朔間先輩にバレる」

「いや、最初から聞こえてるよ、三人とも……」
「くっくっく。愉しそうで何よりじゃのう、宵闇の落とし子たちよ……♪」