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転校生作の素敵なゲーム



「うふふ! 三人で女子会、すっごく楽しみにしてたのよ〜!」
「鳴ちゃん、今日ずっとスタジオでソワソワしてたんだよ」
「そうなんですか」

Knightsのスタジオのコタツを占領して、三人で囲う。男子禁制の女子会……という訳でこの場には私たちしかいない。

しかし女子会って実際には何するんだろう。いつものように恋バナだろうか。

「ねぇ、とりあえずお菓子持ってきたんだけど……そもそも女子会って何するんだろ? 恋バナ? ゲーム?」
「そうねぇ、恋バナしたいけど、いつもアタシたち二人でやってるものねぇ」
「だよね。うーん、あんずちゃん知ってる?」
「先輩、私に抜かりはありませんよ……!」

ドン!
と効果音でも出そうなほど堂々と、彼女は何やらお菓子の空き箱のようなものをコタツの上に置いた。

「恋バナもゲームも、これで一発解決です!」
「え? ……なにこれ?」
「あっ、アタシ分かったわぁ! これ、クジ引きでしょ♪」
「正解。これを一人一つずつ引いて、紙に書いてあるお題について話すんですよ!」
「おお……!」

わざわざ手作りで持ってくるあたりが、なんともあんずちゃんらしいというか。楽しそうなゲームを考案してくれて有難い。せっかくなので、まずは先輩の私から引いて場を盛り上げるべきか。

「じゃ私から引くね! えっと〜……これ!」

薄っぺらい紙を重ねて取らないよう注意して摘み上げた。三角に折りたたまれたそれには、小さな王冠マークが描かれている。

「……キタコレ」
「え!?」
「その背面のマークは重要なんです。王冠マークは名前先輩で、星マークがわたし、ナイトのマークが鳴上さん。で、中身を見てください」
「う、うん」

言われるがままに紙を開くと、そこには『氷鷹北斗』とだけ書かれていた。

「北斗くんの名前が……」
「祭りでは??」
「あんずちゃん!? どうしたの!?」
「よく分からないけど嬉しそうねえ、鉄壁仮面が壊れてるわよ」

なんだかネジが数百本くらいぶっ飛んだとしか思えないくらいのご乱心ぶりなんだけど……。普段クールなだけあって、余計にそれが顕著だ。

「ごほん。ええと、つまりはですね。中身の名前と、背面のマークの人物の恋愛話を、くじを引いた人が語るっていう趣旨なんです。だから今のくじは、氷鷹くんと名前先輩の恋愛話をですね」
「ほ、北斗くんと付き合ってるわけでもないのに恋愛話なんて出ないよ!?」
「他人のマークを引いたときは『いい雰囲気に見えた状況』を語ってもらうんですけど……先輩ご本人が引かれましたからね。じゃあ、『ちょっと相手にドキドキした話』をどうぞ」
「ど、ドキドキした話……」

北斗くんにドキドキした話か。
うーん……ないわけじゃない。むしろ北斗くんは発言が全部プロポーズみたいに重みがあるから、割と頻繁にドキッとするけど。

で、でもそれを二人の前で言うの? すごく恥ずかしい……とか言って逃れられる空気じゃなかった。あんずちゃんは『絶対聞くまで進行しません』って顔で見てるし、同学年の子の話とあってか鳴ちゃんもワクワクしてるし。

……ええい、覚悟を決めるしかない!

「こ、この前のオータムライブの為の遠征で……私、秀越学園の制服着てたよね。初日は私服で会ったから何ともなかったんだけど、次の日に茨くんと凪砂と一緒に朝ご飯食べて料亭から出てきたところで、ちょうど北斗くんと鉢合わせて。それで、私の制服にすっごくビックリした顔して、その後ちょっと機嫌悪かったのが……不謹慎ながら可愛いなって……」
「まぁ、北斗ちゃんったら可愛いとこあるのね〜! ヤキモチ妬いちゃったのかしらぁ♪」
「氷鷹君はやっぱり最強ですね……天然たらし同士の戦いですよこれ……」
「あらやだ転校生ちゃん、上手ね!」

二人ともすごい盛り上がってるなぁ……。私なんかの、しかも恋バナ未満のよく分からない所感を聞いて楽しいのか……?

「あ、思い出した。あと北斗くんが『驚いた。……先輩がその服を着て『Adam』と歩いているだけで、こんなにも悔しいなんて』って言ってた」
「ありがとうございます……神様……」
「あんずちゃん!?」

突然神に感謝しだした転校生ちゃんに動揺したが、鳴ちゃんは全然驚いた様子もなかった。ど、同学年の前ではよく神に感謝してるのかな……?

「じゃあ時計周りにいきましょ! ほら転校生ちゃん、くじ引いて!」
「はい……しんどい……いきなり推しCPは心臓に悪いです……」

ぶつぶつと何か言いながら転校生ちゃんもクジを引いた。彼女が取り出した紙は――

「えっ、また王冠マークだし!」
「中身は瀬名先輩でした」
「ええっ!? だ、だめだめ! 顔合わせづらくなっちゃう!」
「大丈夫ですよ、手遅れレベルに話題はありますから。というか、お二人が傍にいるだけで常に話題が発生しているというか……」
「わかるわぁ、泉ちゃんの表情が全部物語ってるわよねぇ」
「正直話すことありすぎて逆に手が付きませんね。あ、鳴上さんもどうぞ、先にひいちゃってください」

なんだか物凄いことを言いながらあんずちゃんが鳴ちゃんへクジの箱を差し出した。彼もすぐにクジをつまみ上げたが、その裏面は……。

「待って、さっきから王冠集中砲火なんだけど!?」
「中身は、あらまぁ。『UNDEAD』の羽風さんねぇ」
「運命は3Aに味方してますね」

こ、この二人に今から、私の恋愛話をされるの……? 恥ずかしすぎるし今日一日、相手の顔が見れないっ……!

「じゃあまず私から」

この後めちゃくちゃ語られたうえ、裏面のマーク比率が8:1:1くらい、もちろん王冠が8だったことは記しておこうと思う。絶対ゆるちゃない……! とまぁ、乙女二人が相手なので強く責められず、赤ちゃん言葉で責めたことを蛇足として付け加えておこう。