昨日も雨、今日も雨。
空を覆い隠す厚ぼったい雲は気持ちまでどんよりさせる。
あーもう今日こそ妹子と原っぱでバドミントンの決着を付けようと思ったのに! いつになったらこの私の方が格上だとあいつに見せ付けてやれるんだろう。

「やぁ太子」
「うわっ?! た、竹中さんか!びっくりした〜……」

相変わらず彼はどこからともなく急に出てくるからびっくりする。雨の日の竹中さんは文字通り水を得た魚ですごく生き生きしている。良いなぁ、私もそうなれたらいいのに……。

「……太子は、今イナフと同じこと考えてたよ」
「えっ! あいつに会ったの?」
「ああ。 さっき書庫でぐったりしてた」
「な、何だって〜!」

あのお芋め、最近急に冷えたり暑くなったりしたのに仕事ばっかしてろくに体調管理してなかったな。
まったくこれだから世話の焼ける部下は。……って妹子に仕事押しつけたの私か。何だかちょっと悪いことしたかも……。

「あ、それよりも同じこと考えてたってどういうこと? あいつもバドミントンで自分の方が強いって思ってたってこと?」
「違うよ」

雨が、また強く降る。

「イナフは早く君と外で遊びたいって考えてたんだ。最近仕事詰めだったし、君も出張が多かった上にこの天気だからなかなか会えなくて寂しかったんじゃないかな」

ね、同じだろう? と首を傾げる友人に、やられたなぁと思いながら私は部屋から出た。
雨はまだ止みそうもない。

「……太子、分かってると思うけどあんまりイナフの身体に負担かけちゃダメだよ」
「ぶっ! な、何でバレてるんだよ!」
「友達だからさ」

爽やかに笑う彼にはかなわないなぁと思いながら、とりあえず部下の様子上司として見るだけだもん、と言い訳をして妹子の部屋に向かう。
あんにゃろめ、寂しかったら正直に来ればいいのに。まぁ来ないところがあいつらしいんですけど。

早く晴れたら良いなぁと思いながら、私は妹子の部屋の扉を開けた。


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