140 | ナノ




「…もう食べられない」
「そりゃ店のケーキ買い占めたらそうなるよね」
「勇者さん、魔法で賞味期限伸ばしてくださいよ」
「魔法をそんなことに使っていいんだろうか」
「伝説の勇者が言うんだからいいんじゃない?」
「もう家庭教師も終わってるし失敗してもオレのせいじゃないしな」
「む、無責任なっ!」

20160503








話をしようぜ、シーたん。お前が生まれてからオレが死ぬまでの、たった千年とちょっとの間の話だ。
お前は昔っからオレのことが好きだったな。オレが何しようが最終的には許してたもんな。オレはそんなお前が大嫌いだったよ。
だって、お前のその眼差しは、シシリーそっくりだったから。大嫌いだった。

それなのにお前はオレを愛した。オレはお前なんか見てないってのに。
普通に人間やってるときも、魔王になってからも、お前はずっとオレを愛し続けたんだ。不思議でならなかったよ。
オレはこんなにもお前が嫌いなのに、どうしてお前は俺を愛すんだろうかってね。結局、死んでからも答えは出ないままだ。

なあシーたん。お前はどうしてオレなんかを愛したんだ。愛してくれたんだ。オレにはわからない。わからないよ、シーたん。
だから話をしよう。オレはわからないことがあるのは嫌いなんだ。死んでも死に切れない。話をしよう。そして教えてくれ。
どうしてお前はオレを愛すのか。この涙の意味は何なのか。

そうだ。話をする前に、殴られそうだから一つだけ先に言わせてほしい。聞いたらシーたん、絶対殴るもん。だから、先に。
オレはね、シーたん。シオン。お前がオレを愛すその目が大嫌いだったけれど、何よりも一等好きだったよ。
シシリーそっくりで、レイクにも似ていて、家族を感じるその目を愛してた。

話をしよう、シオン。今までのこと、これからのこと。お前が何を思ってたのか。今、この瞬間をどうやって生きているのか。お前の目に映る世界は美しいのか。それともくすんだ色をしていたのか。
聞かせてくれ。お前の言葉で。お前の話なんかちっとも聞かなかったオレだけど、たまには親子で話そうぜ。

ああ、でもオレ、もう死んでるのか。

20160506








【アルバトロスルキたんはちょっと校則破る程度で基本的にきちってしてそうだけどクレアさんはばりばり校則破ってて先生に怒られる前にロスさんにめっちゃ怒られてそう】

「その格好は何だ」
「え、かっこよくない!?」
「汚い」
「ひどいぜシーたん!」
「お前は何しに学校に来てるんだ?学校は何のためにあるんだ?お前の空っぽの頭に知識を詰め込むためにあるんじゃないのか?お前はそのために学校に来てるんじゃないのか?」
「…シーたん怒ってる?」
「呆れてるだけだ」

【次の日からクレアさんがきちんとした格好で学校に来てるものだからちょっと目を細めて「やればできるじゃないか」って褒めてあげるロスさん】

20160511








【何が何でも死にたいクレアシオンさんと何が何でも死なせたくないレドフォさんが世界の果てまで追いかけっこして 世界の端っこに追い詰められたクレアシオンさんがレドフォさんに全力で頭突きされて「…!?っ!!!?」って半泣きになるとこまで妄想した】

「お前が死んだら何の意味もないだろうが!!!死ぬなら!ボクがお前を追いかけた時間を返してからにしろ!!それが出来ないなら死ぬな!!ボクに痛い思いとか悲しいとか悔しいとかムカつくとか!!そんな感情を抱かせたこと!!生きて詫びろ!!!お前が死ぬまで生きて詫びろ!!!いいな!!!」

20160523








「ねえアルバさん。ひとりぼっちってつらいんだよ」
「うん」
「私、もうひとりになりたくないよ」
「うん」
「あんなにさびしいのはもう嫌だよ」
「そうだね」
「ロスさんは私たちを置いていっちゃった。アルバさんまでいなくなったら私、またひとりぼっちになっちゃうよ」
「うん、」
「やだよ。…やだよ、」

「ごめんね、ルキ」
「やだよぉ…、私、もうひとりぼっちは嫌だよ、ねえ、アルバさん」
「うん、ごめん」「やだ、こわいよ、やだよ…、いやだ、」
「ごめんね、ルキ。いつか必ず迎えに来るから。待ってて。ひとりじゃないから。大丈夫だから。ボクもひとりぼっちは嫌だから。ねえルキ、待っててくれる?」

「そう言って、何回も何回も何回もなんかいも…!戻ってこなかったくせにっ!ひとりにしないって言ったくせに!ひとりぼっちは嫌だって言ったくせに!!嘘つきだ、アルバさんもロスさんも嘘つきだ…!私、ひとりぼっちは嫌なのに!怖いのに!ひどいよ、…ひどいよふたりとも。結局私を置いていくんだ」

【ロスさんを助けるためにルキたんを置いていくアルバさんといつまで待ってもアルバさんもロスさんも帰ってこないことを知ったルキたんが時間を捻じ曲げて何度も何度も同じことを繰り返す話】

20160529








戦士ロスは優しいと思う。たぶん。きっと。
事あるごとにボクを殴ってきたり、食事に毒を仕込んだり、魔物との戦闘は助けてもくれないし、暴言吐くし、エトセトラエトセトラ。あれこれ優しいの?いやいや、戦士ロスは優しいのだ。たぶん。きっと。
ボクはなんとなく、ボクの前を歩く彼の背中を見て思う。

例えばどこだろう。
明らかに足手まといなボクを置いていかないところ。なんだかんだと困っている人を見過ごせないところ。世界を見る目が柔らかいところ。エトセトラエトセトラ。戦士ロスは優しいのだ。だからボクは嫌いになれない。怒っていいくらい色んなことをされているけど、やっぱり怒れない。

ボクはそんな戦士ロスがとても好きだった。好ましいと思っていた。友達になりたいなあと思うくらいには、ボクは彼のことを好意的に見ていた。意地悪だけど。戦士ロスもそこそこボクのことを気に入ってくれていたのではないだろうか。たぶん。きっと。
ボクと戦士ロスの旅はそこそこ楽しかったのである。

戦士ロスは優しいのだ。戦士ロスだけじゃなく、勇者クレアシオンも、ただのシオンも。優しいのだ。
だから彼は色んなものを棄てて、それでも棄てきれず、悩んで苦しんで、そうして今、幸せに生きているのだろうと思う。たぶん。きっと。優しい人は幸せに生きるべきだよなあ。ボクはそんなことを思った。

戦士ロスは優しい。ボクも彼のように優しくなれただろうか。
あんたの場合、優しいというか甘いですよね。なんて彼は意地悪に笑ったけれど。何年も何十年も、ずっとずっと優しい彼の友達でいたのだから。ボクの人生、少しくらいは人に世界に優しく生きてこれたのではないかと思う。
たぶん。きっと。

20160529








「…っ!…へえ、やるじゃねぇか」
「いつまでも弟に負けてるようじゃ兄失格だから、ね、っと!」
「心意気は認めてやるよっ!」
「いってえっ!!」
「はっ!こちとら千年とちょっと伝説の勇者やってんだ、そう簡単に負けるかよ」
「…ぜってー負かす」
「やれるもんならやってみろ」

【的なレイクシオン兄弟のあれやそれやが見たい ムキになってちょっと攻撃的になるレイクくんとかかわいいやん】

20160530








【ロスさんに鼻歌混じりにご飯作ってほしいしその鼻歌はアルルキちゃんから移ったものであってほしい】

「シーたんいっつもその歌歌ってるよね」
「…そうか?」
「何の歌?」
「あー…なんだっけな。どこで聞いたんだ…?」
「そんなのオレが知るわけないじゃん!でも、」
「ん?」
「その歌歌ってるときのシーたん、すごく優しい顔してるから。きっといい思い出の歌なんだろうね」
「…そうかもしれないな」

20160530












「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -