140 | ナノ




「ボクの知らないところで!ボクの誕生日がお祭りになってる!!」
「なんか去年くらいから始まったらしいですよ」
「去年のも盛大だったよねー」
「去年も行ったの!!?」
「なんですか。仲間はずれにされたからって拗ねてるんですか?」
「いや違うよね!?本人の許可なく何してるんだって話だよね!?」

「アルバさん。過去の人の誕生日とかみんな勝手に祝ってお祭りにしてるでしょ?それと同じだよ」
「さりげなく過去の人扱いされた!?」
「やかましいですよ勇者さん。ツッコミ入れないと死ぬ病気ですか」
「いやこれボクじゃなくてもツッコミ入れるよね!!?」

「はいはい。お誕生日おめでとうございます。これ、誕生日プレゼントです」
「あ、ありがと…ってゴミ!!!まごうことなきゴミ!!!」
「りんご飴おいしかったよー」
「食べる前のものが欲しかったなあ!!!!」
「もーワガママだなあアルバさん。仕方ないからこっちあげるね」
「これもゴミだよね…?」

【(この後ちゃんとお祝いしてもらった)】

20160306








【千年前には洗濯機なんてものはなかったから勝手に洗濯してくれる洗濯機に感動してたロスさんが家事を面倒だと思うようになってアルバさんに自分の誕生日プレゼントに乾燥機付きの洗濯機をねだるってとこまで妄想した】

「勇者さん、オレ、乾燥機付きの洗濯機が欲しいです」
「お、おう…?」
「食器洗浄機でもいいですよ」
「…うん…?」
「あれでもいいです。掃除してくれるロボット。具体的にはルン○」
「おい」
「世の中便利になりましたね。冬の冷たい朝に川に行って洗濯しなくていいだなんて。技術の進歩すごいですね」

「…で、本音は?」
「なんか家事するの面倒くさくなったんで勇者さんのお金で便利グッズ買えないかなーと」
「そういうやつだよお前は!!!」

20160314








【ロスを助けられなかった弱いお前なんていらない っていうレドフォさんと お前がお前だったからロスやルキと出会って共に生きていけるんだ っていう三章以降のアルバさん】

頭の中で、何度も何度もナイフを突き立てた。細い手足、柔らかい胴、甘ったるい顔に、空っぽの頭。
隙間なく、丁寧に、ボクはあの時のボクにナイフを突き立てる。お前が弱いから。お前がもっと強かったら。
お前が、お前が。突き立てたナイフは真っ赤に染まる。目の前のボクはもう、ぴくりとも動かない。

そうして、戦士ロスと旅立った勇者アルバは、死んだ。ボクの手によって殺された。弱いボクなど、ボクにはもう必要ないのである。
ナイフでずたずたにされたボクは、がらんどうな目で、ボクを責めるように見ている。ボクはその目にナイフを突き立てて、ボクの亡骸を、海の底へと沈めてしまった。

「あんた本当に馬鹿ですね。そんなことしなくたって、あの頃からずっと、あんたはちゃんと強かったのに」

20160314








【空を飛びたい勇者さんと勇者さんに空を飛ばれたら困る戦士さんのお話】

「空を飛びたいなあ」
「またそれですか」
「空を飛べたらさ、色んなところに行けるだろ?高い山にも、海の真ん中にぽつんも浮かぶ島にも、もしかしたら地平線にだって水平線にだって行けるかもしれないよ」
「それの何がいいって言うんです」
「ロスはさ、そういうの憧れない?」
「ええ、まったく」

「どうして?絶対楽しいのに。きっと空の上は気持ちいいよ。風がやわらかくてお日様があったかいと思うよ。鳥が近くを飛んでいて、もしかしたら誰かの手紙付きの風船を見つけるかも!」
「そんなもの、全然魅力的に感じません」
「ええー。楽しいと思うんだけどなあ。そんなに面白そうじゃないかな?」

「だって、あんた、ひとりで空を飛ぶつもりでしょう。隣に誰もいないんですよ。オレはそんなのごめんですね。ルキと手を繋いで、勇者さんのアバラを殴って、そうして一緒に歩くことの方がずっとずっと魅力的ですよ。だから、あんたに空を飛ばれたら困るんです。オレは誰のアバラを殴ればいいんですか」

「…すなおじゃないなあ、ロスさん」

20160321








「さあ、ゲームだ!ここにいるのは正真正銘、様々な世界線時間軸のボクと、ロス、もしくはシオン、或いはクレアシオン!君たちは制限時間内に自分の世界の人間を探さなければならない!できなければ、そうだな。相手を見つけられなかったボクの世界が消えてなくなる、とかどうかな?楽しそうだろう?」

「あんたほんっとめんどくさいバカですよね!何めんどくさいことやってんですか殴られたいんですか!寂しいなら寂しいって言えバカ!あんたがアホなことするから、危うく世界が歪んで消えてなくなるところだっただろうが!このバカ!あんたの魔力はそんなバカなことに使うためにあるんじゃないだろ!」

20160322








できないことがある人間を人間と呼ぶならば、私のアルバさんはもう人間じゃない。なんだってできる。不可能だなんて、彼の前ではただの文字列でしかないのだ。
私はアルバさんに人間でいてほしい。なんなら魔族でもいい。でも、だけど。間違っても、神様とか、そんな遠くの人にはならないでほしいのだ。

「もう!アルバさんったら、いつまで経ってもたまご焼き作るの下手くそだね!ほら、ここ。焦げちゃってるよ。それからお裁縫もできないよね!仕方ないからその取れたボタン、私が付けてきてあげる!ついでにクッキーも焼いてきてあげるね!まったく、アルバさんはできないことばっかりなんだから!」

そうやって、私は必死にアルバさんにできないことを探している。
アルバさんはその度に申し訳なさそうに眉を下げるけれど、申し訳ないと思うなら、自分が人間であることにもっとしがみ付いてほしい。
そうすれば私だって、アルバさんのことを褒めることができるのに!
早く私にアルバさんを褒めさせてよ!

20160322








「部長部長!セブン○レブンで新発売のスイーツがあるらしいので買ってきてください!」
「え、自分で行けよ!!」
「だってセ○ンイレブンって隣駅まで行かないとないじゃないですか。遠いですよ」
「だからってボクに行かせる!?」

【部長とロスさんでコンビニスイーツ巡りの旅をしてたらかわいい あのコンビニはあそこにあるけど新発売のスイーツは入荷しない あのコンビニは種類が豊富 とかってのをふたりでマッピングしていってたらいいよ】

20160402








いい天気だな、とロスさんが笑うから、私も釣られて空を見上げた。
やわらかい水色をした空には、小さな雲がぷかぷかと浮いている。いい天気だな、ロスさんがもう一度笑う。いい天気だね、私はそう言って、ロスさんの手を握った。
あったかくて、今日もいい天気で。なのに、不思議。ちょっと足りないの。

でも、足りないね。私の言葉にロスさんはくすくす笑い声を上げて、足りないなあ、とのんびり言った。
言葉の割に私の手を握る力は強くて、素直じゃないな、なんてひっそり思う。
いくらいい天気でも、いくらあったかくても。私たちの隣に私たちの勇者様がいないのなら、それは未完成でしかないのである。

20160413








勇者さんは勇者なんかじゃない。ただの悪人だ。
いつだって正しく、誰かのためを思っていて、いつだって、彼は限りなく勇者だった。
勇者であるが故に残酷だった。美しいが故に醜かった。彼が彼である故に、オレはオレであるのにも関わらず。彼が悪人であるが故に、オレは正しくなければならなかった。

だからオレは勇者である彼を殺してしまった。正しくあることを否定し、自分のことを思うように仕向けて、彼から勇者を殺したのだ。
彼が悪人であるならば、勇者である必要はない。彼が正しくなければ、オレだって正しくある必要はないのである。
勇者さんは困ったように笑って、困ったな、とだけ言った。

勇者であることを辞めてしまったボクは何であればいい、と至極くだらないことを問うものだから、オレは鼻で笑って、誰かの何かでなければ何にもなれないんですか、といつか言った言葉を繰り返す。
勇者も悪人も辞めた勇者さんはせいぜいただのアルバ・フリューリングとして普通に生きればいいのである。

20160420








「勇者さん勇者さん。日曜日の夜に寝ても月曜日が来ない魔法とかないんですか」
「元伝説の勇者がそれを聞くってことはないんじゃないの」
「……」
「あだだだだっ!ごめん!考えるから!!考えるからアイアンクローはやめて!!お前自分の握力いくつだと思ってんだっ!!」

「勇者さん勇者さん。月曜日を爆発させる魔法のことなんですけど」
「ボク考えたんだけどさ。月曜日を爆発させたら52日も1年が縮むわけだろ?52日もお前が家族と過ごせる日が短くなるし、52日もお前やルキやクレアさんに会える日が短くなるじゃん。それって勇者のやることなのかなって」
「」

【4章くらいにシオンさんが勇者さんに無茶ぶりしていろんな魔法編み出させてるとわたしが楽しい】

20160425








「アルバさんアルバさん!アルバさんって両手をぱんってするだけで物を作り出せたりするの?」
「それなんて錬金術師?」
「指ぱっちんしたら焔が出たり?」
「ルキちゃん?何読んできたのかな?」
「雨の日は無能なんですから下がっててください勇者さん」
「ロスまで何読んできたの!!?」

【アルバトロスルキちゃんでハガレンパロしたら大層楽しいのではないかと思ったんだ……】

20160425








【なんか突然ロスルキちゃんが 勇者さん勇者さん!アルバさんアルバさん! ってアルバさんのこと呼んでるのものすごく可愛いなってなってひとりでめちゃくちゃにやけてる】

「何笑ってるんですか気持ち悪い」
「そうだよアルバさん!顔が犯罪だよ!」
「え、ボクの笑顔って犯罪級にダメなの!?」
「はい!」
「うん!」
「いい笑顔!!…なんだよぅ、ロスとルキがボクのこと呼ぶときに楽しそうな顔してるんだから、ボクだってそんな顔になるだろ…」
「あざとい!」
「ぐへえっ!」

20160426








「ねえロス」
「何ですか」
「この世界から蚊を撲滅する魔法ってないの」
「ありませんよアホですかあんた」
「わかった。じゃあボクが作り出す」
「…はあ?」
「蚊くらい撲滅したっていいよね。あいつらって何で生きてるのかわかんないもんね」
「ちょっと勇者さん、落ち着いてください。何だってんですか」

「ピンポイントで指先を狙ってくるあいつらが憎いッ!何なんだよお前らスナイパーか!!」
「…疲れてるんですか?」
「かゆいんだよ!お前もわかるだろこの気持ち!?」
「…勇者さん。オレにツッコミさせないでほしいんですけど」
「なんだよっ!」
「かゆみ止めの魔法使えばいいでしょうが」
「……あ。」

20160502











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