140 | ナノ




「もう!ロスさんってばどうしていつもいつも無茶ばっかりするの!ロスさんが怪我する度に私がどんな思いしてるか分かってるの!もう!ばかばか!ばか!」
「…ごめんなさい」
「次やったら許さないんだからね!」
「…はい」
「…ざまあみろ」
「…あ?」
「言っとくけどアルバさんもだからね!」
「…ハイ」

【いっぱい無茶していっぱい怪我してるきたんにお説教されるろすあるちゃんきゃわいい】

131123








夜になると親友は星に手を伸ばす。晴れていても星が見えなくとも。星に手を伸ばして、今日あったことを話し出す。
今日も、オレ、楽しかったよ。毎日そんな言葉で締め括られるそいつの日課。誰に語りかけてるんだ、問い掛けた。親友はいつも通り笑う。

「パパさん!」

ひとりで寂しがってるだろうからね!

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今日は出会った記念日!
今日はあんみつがおいしかった記念日!
今日はロスさんとまた会えた記念日!
今日はアルバさんが勇者になった記念日!
今日はアバラ記念日なんで勇者さんのアバラ折りますね!
なんでだよ!っていうかアバラ記念日ってなんだよ!
今日はクレアさんおはよう記念日!

毎日が記念日!

131126








アルバさん、ロスさんいつになったら起きてくるかなあ。
さあ、どうだろ。あいつ、なんだかんだ寝坊助だからなあ。
アルバさんほどじゃないけどね
。まあ確かにそうだけど。
ロスさん、早く起きてこないかなあ。
長いこと起きてたからね、少しくらいゆっくり眠っててもいいんじゃないかな。
うん、そうだね。

もう、ロスさんやっと起きたの?お寝坊さんだなあ。
悪い。
アルバさん、待ちくたびれちゃってもう寝ちゃったよ。ロスさんが起きるまで待ってるんだって意気込んでたのに。
あの人、オレのことを待っててくれたのか。
アルバさんだけじゃないよ、私だってずっと待ってたんだよ。
そうか、ありがとう、ルキ。

あ。
あ。
やっと起きたのかよ。
それはこっちの台詞です。
ずっと待ってたんだからな。
オレだってずっと待ってやってました。
ルキは?
さあ。待ちくたびれて寝たんじゃないですか。
そっかあ。長い間待たせちゃったもんなあ。
今度はオレたちが待ってればいいんですよ。
そうだね、ルキが起きるまで、ずっと。

あ。
あ。
あ。
もう!やっと二人とも起きてきた!
ルキこそ。随分遅かったじゃないか。
勇者さんなんかまた寝そうになってたんですよ。
大半はお前が原因なんだけどな!
…ルキ?
…あいたかったよ。
…うん、ボクも。
待たせて悪かったな。
また三人でいられる?
もちろん!
一緒にいる。

へへ、二人ともおかえり!

【魔族で一番寿命が長いるきたんと半魔族化して人間より寿命が長くなったあるばさんが先にしんでしまったろすさんが転生するのを待ってたんだけどその間にあるばさんが寿命が尽きちゃって今度はろするきちゃんであるばさんが戻ってくるのを待っててそのうちるきたんにも寿命が来ちゃって
ろすあるちゃんはずっとずっと待っててようやくるきたんが生まれてきて三人が揃うのは一体何年後なのかなーって考えてたんだって思い出したって感じの話】

131126








【あるるきくれあちゃん傷付けたモブを3分の2殺しくらいにして頬に返り血浴びてるろすさん妄想してたらなんか滾ってきたね 返り血はあるばさんが溜め息つきながら拭ってくれるね】

心配させるな。
それはこっちの台詞です。
…お前も知ってるだろ。ボクはもう弱いボクじゃないんだ。あんな奴らに負けない。心配してくれるのは嬉しい。だけどボクはお前が傷つく方が嫌だ。
…は、い。
もう危ない真似するなよ。
…はい。
(真っ赤な血を見た瞬間、何もかもが吹っ飛んでしまったんですよ。)

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「クレア、オレ、分からないんだ。お前らが笑うと胸の辺りがあたたかくなる。どうしようもなく、一緒に笑いたくなる。こんな気持ちは知らないんだ。これは一体何なんだ?」
「それはね、シーたん。シーたんはオレたちのことが大好きなんだよ!だから心がいっぱいいっぱい好きだー!って叫んでるんだ!」

「ルキ、オレは分からないんだ。お前らが近くにいるだけで落ち着いて、ずっとこのままでいるのも悪くないかもしれないなんて思うんだ。これは一体何なんだ?」
「それはね、ロスさん。ロスさんが私たちに気を許してくれている証拠だよ。私たちが傍にいることを許してくれてるんだね。とっても嬉しい!」

「勇者さん、オレ、分からないんです。貴方たちがオレに触れると温かくて、ふわふわして、もっと欲しくて、オレからも触れたくなるんです。腕を伸ばしたくなるんです。これは一体何なんですか?」
「それはね、シオン。ボクが教えるまでもなく、もう知ってるんだろう?」
「…そうなのかもしれませんね」

131128








魚ってね、鱗があるんですよ。
中身はあんなにやわらかいのに、鱗があるから濁流の中でも泳いでいけるんです。
木だって虫だって、やわらかい部分を守る硬い殻があるじゃないですか。
傷付かないように殻があるのに。どうして人間の一番やわらかくて傷付きやすい場所には殻がないんでしょうね、勇者さん。

131129








何度も何度も、彼女がいなくなってからずっと。出なくなった声で呼んでいた。
もう二度と彼女の名前を呼ぶことはないと思っていたのに。何度も、何度も。
心が覚えてしまうくらいには呼んでいたから。

「…しぃちゃん」

一番最初に口から滑り落ちた言葉が彼女の名前だったことは、仕方のないことなのだ。

【須賀シオが尊いからやらなければいけないと思った。反省はしていないし後悔もしていない。須賀シオまじ尊い。】

131201








何処か遠くまで行きましょうか。
遠くって何処まで?
さあ。何処か遠くです。
うーん、お前が行きたいならいいよ。
何処か遠くまで行こうか。
なになに、二人ともどこかに行くの?
ロスが遠くに行きたいんだって。
遠くってどこまで?
遠くだって。
そっかあ、じゃあ遠くに行こっか!ル
キならそう言うと思った!

何処まで行ったって三人一緒だよ。何処まで行ったって怖くない。ボクらは何処まで行ったってお前と一緒にいるよ。何処にも行かないよ。
大丈夫だよ。お前が行きたいならずっと、何処までも、一緒に歩くから。

だからほら。もうそんな、情けない、泣きそうな顔するなってば。お前らしくないだろ。

131201








「ルキ、こっちにおいで」

狐色の人が私を手招いた。なあに、首を傾げて駆け寄る。その人はにんまりと笑って、私の手を取った。後ろ手に隠した何かを私の小さな指にはめる。
きらきら、小指に光るのは小さな指輪。

「約束だよ、ルキ」

ボクは何があってもルキの味方だから。私はちょっと泣いてしまった。

131202








踏み出した一歩目。それは酷く重たくて。
足を進めた二歩目。立ち止まろうとした。
次に地面を蹴った三歩目。ほんの少し軽い足。
四歩目、五歩目は隣を歩く子供たちと一緒に。
立ち止まる六歩目。歩き出した七歩目。道の先を見た八歩目。
新しい世界を踏み締めた九歩目。

十歩目は、あいつらと一緒に行こう。

131202








「ロス!ロス!ほらあれ!オリオン座!」
「言われなくても見えてますよ」
「じゃ、じゃああれ!カシオペア座!」
「部長。オレ、星座よりもあんまん食べたいです」
「お前さっきもおしるこ飲んでただろ…」
「部長のくせにオレに文句言うんですか生意気です」
「いた!いちいち殴るな!」
「あはは、ぷえー」

131203








今日の夕飯はなんだろうねえアルバさん!
ボクはハンバーグがいいなあ!
えー、わたしはオムライスがいい!
あいつのオムライスは美味しいもんね。
でもハンバーグも美味しいね。
あとデザートも欲しいなあ。
デザートは…

プリン!

だよねやっぱり!
美味しいもんね!
早く帰っておねだりしよっか!
うん!

おかえりなさい。今日の夕飯ですか?オムライスとハンバーグですけど。二人して何ですかニヤニヤして気持ち悪い。もうちょっとで出来ますからさっさと手洗ってきてください。
…はあ?プリン?嫌ですよ面倒臭い。プリンが食べたきゃ買ってくればいいでしょう。

…あーはいはい!作ればいいんだろ作れば!

131205








もう逃がさない、離さない。
ようやっと捕まえたぬくもりを掌の中に閉じ込めた。
もう二度と手離したくないと、握り締める。今にも消えそうなそのぬくもりに、長く縋っていたのだけれど。
そんな固く握った掌をいとも簡単に解いて、もっと大きなぬくもりで包むこむ。
彼らは、オレの、大きな、幸せである。

【1章ろすさんは本当に小さなしあわせをひとつひとつ噛み締めて自分の中の宝箱に丁寧に仕舞い込んでいるといい 開かないようにいっぱい鍵を掛けていたのにね 2章になって鍵が壊されて3章になって宝箱も壊されて そうして今まで集めたしあわせよりもっとずっと大きなしあわせに包まれたらいいよ】

131205








被告人Aさん、前へ。あなたの罪状をあなたの口から言いたまえ。
――はい。ボクの罪は無知だったことです。無知がどんなに恐ろしいことか知りました。弱さがどれほど愚かしいことかも知りました。今のボクはきっと無知ではないでしょう。それでもボクは知ることをやめてはいけないのですね。

被告人Cさん、前へ。あなたの罪状をあなたの口から言いたまえ。
――はい。オレの罪状は思考を放棄したことです。現状に甘え、幸せな世界に浸って、何故だどうしてだと追及しなかったことです。もしも、と考えてしまうことです。それでも何故かどうしてか、今のこの時間も嫌いではないことです。

被告人Sさん、前へ。あなたの罪状をあなたの口から言いたまえ。
――はい。オレの罪状はひとりで何もかもを解決できると思い込んでいたことです。オレはひとりでは何もできませんでした。強がって嘘を吐いて、ひとりがいいのだと言い聞かせていました。そんなはずはないのに。笑ってしまいますね。

判決を言い渡す。被告人三人は有罪である。
無知も、現状に満足することも、強がることも、なにも悪いことではないのに。
それが悪いと思い込んでいる三人には、罰として。私とずっと一緒にいることを命じる。

そうしてあなたの罪を懺悔し続けたまえ。私はいつでも被告人のことを見張っているたまえ。

131205








「もう!アルバさんもロスさんも!もう!もう!」

突然聞こえた怒鳴り声にびくりと肩を揺らす。発信源を見ると、桃色の少女が頬を膨らませていた。
目には薄らと涙。確か少女は銀髪の彼と一緒に遊んでいたはずだが。少女の後ろには困り果てた顔をした青年がいた。
ごめん、口の動きだけで伝えられる言葉。

家庭教師と目を合わせる。何したんだよお前。知りませんよ。
交わされるアイコンタクトも空しく、少女は本格的に泣きじゃくり始めた。ボクらは何もできずに固まっている。
少女が眦を吊り上げてずかずかとこちらに歩み寄ってくる。何したんだよお前!知りませんよ!
辿り着いた少女が、机を蹴り飛ばした。

ひい、と小さく声が漏れた。家庭教師も顔を引き攣らせながら少女を見ている。
はらはら、舞い上がった課題が少女の上に降り注いだ。少女はボクたちを睨み付ける。そして、こうのたまった。

「もう!二人とも!たまには勉強ばっかりじゃなくてわたしにも構ってよおおおっ!」

不覚にもときめいてしまった。

20131208






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