140 | ナノ




人を斬ることに抵抗はない。罪悪感など母の腹の中に置いてきた。
じゃあどうして命を奪う度に虚しさが襲ってくるのだろうか。苦しいのだろうか。
答えは決まっている。

「銀ちゃん!もういいネ!銀ちゃん!」
「銀さん、やめてください!それ以上、自分を殺さないでくださいよ!」

…あいつらが泣くからだ。


【銀魂】

120406








いい天気だ。先日の悪天候が嘘のように空は青く高く澄んでいる。
こんな日には家事をするに限る。洗濯をして、掃除をしよう。たまには布団も干そうか。
どうせ今日も仕事はないから午後はみんなで散歩に行こう。

「銀さん、神楽ちゃん、おはようございます」

そんな日常を、僕は案外気に入っているのだ。


【新八は万事屋のお母さんだよねって話。】

120427








綺麗な心、汚れた体。:銀神(銀魂)

血みどろになった己の手を見て思う。
こんな手じゃ、綺麗なあいつらに触れられない。
数えきれない程の人を斬って血に塗れた己には、あいつらは眩しすぎる。
綺麗すぎるのだ。純粋で、美しい。

だが、あいつらの傍でなら。汚れた己を清められるのではないかと。幻想を抱いて。
そんな醜い自分を、嘲笑った。



抱きしめてもいいかな:銀神(銀魂)

これを見るがいいネ万年金欠天然パーマ!
…なんだよ、まさかそのうまそーなケーキを俺の前で食おうってんじゃないだろーな
違う!
じゃあなんだよ…
母の日のプレゼントネ! 
母の、日…? 
そうアル!…いつもありがとヨ、銀ちゃん 

――にっこり笑うこの可愛い子、抱きしめてもいいですか?



ばか。たったその一言だけ。:銀神(銀魂)

銀ちゃん、私、銀ちゃんのこと大切ヨ。
お父さんでお母さんで兄ちゃんな銀ちゃんがとても大切。
新八だって定春だって大切だけど、銀ちゃんはトクベツ。
ボロボロになった銀ちゃん、見たくないヨ。
そう言ってもムダだと思うけど。
だけど、いっこだけ言わせろヨ。

…銀ちゃんのバカヤロー。



【お題:http://shindanmaker.com/125562】

120504








【お昼ご飯にパン屋さんでパン買ったら777円だった。今日は何かいいことあるかもしれない。 】


「新八、神楽…見ろ!」
「?」
「スリーセブンだぜスリーセブン!7が3つ並んでんの!いやー、絶対今日の俺はついてるわ!」
「……」
「な、なんだよその目」
「…いや、何て言うか…」
「銀ちゃんにもそんな可愛いところがあったアルネ」
「今時そんなことで喜べる大人はいないですよ」

「(恥ずかしい)」

【あれ?3人で777円を全力で喜んでる万事屋のつもりだったのに。新八と神楽が思いの外冷たかった…… 】

120522








すっかり夏空ですね、と言うと、僕に釣られて空を見上げた彼はよく分からないように首を傾げた。

他の季節の空よりも青い気がしませんか?
夏の空はキラキラしてるネ!

僕と神楽ちゃんの言葉に、彼はもう一度空を見上げる。
そして、彼はしばらく夏空を眺め、違いねぇ、と眩しそうに顔を綻ばせるのだった。

【新八や神楽の若い、というか幼い感性に感化されて、今まで何とも思わなかった風景に何かを見つけるようになる銀さんって萌えませんか。そうやってじわじわと今ここにいる幸せみたいなのを噛み締めていたらいいなあって。 】

120703








空:ナナリー(ギアス)

蝉が鳴き、風が通り抜け、遠くから子供たちの声が聞こえる。
あの頃と何も変わらない空気。見上げた空は、今日も高く青い。
幸せだったあの時も同じ空の色をしていたのだろうか。

どうかしましたか、と問う声に、なんでもない、と答える。
私と彼と彼、三人で過ごしたあの夏。
彼らのいない、これからの夏。



夕立:燐しえ(青エク)

塾の帰り、夕立に遭った。ついていない。
傘も無く、仕方なくぼんやりと雨粒を眺めていると、しえみ、と名を呼ばれた。
振り返れば傘を差した燐の姿。

「帰ろうぜ」

彼は当たり前のように私の方に傘を向け、私を待っている。
こんな優しさに出会えるなら夕立も悪くない、と私は彼の傘の中で思ったのだった。



ビール:銀たま(銀魂)

きんと冷えたジョッキに同じだけ冷えた黄金色を注いでいると、やっぱこれだよな、と銀時様は頬を緩ませた。
ジョッキはすぐに彼の手の中に収まりあっという間に飲み干される。

空になったジョッキを私に差し出した彼は、店内で同じように液体を呷る人々の姿を横目で見て、これが夏だ、と得意気に笑った。

【お題:http://shindanmaker.com/249490】

120731








ぼくはずっと待ってた。君が来るのを待っていた。
ぼくは、君に会うために生まれてきたんだ
。だから、早く来て。勇気を出して。一歩踏み出して。ぼくの手を取って。
一緒に、歩き始めよう。

「はじめまして!ぼくはずっと君を待ってたんだ!」

そして君がぼくの名前を呼んだとき、ぼくらの冒険が始まった。

【デジモンたちって健気だよね、って話。】

120817








あの空も、あの風も、こことは違うあの空気も。
仲間も、相棒も、敵も、味方も、たくさんの軌跡も、奇跡も、名前を呼ぶあの間延びした声も、友達だと笑ったあいつも。
ここには何もない。
叫んでも走ってももがいても、もう戻れない冒険の日々。

――あの夏の冒険は、僕らを確実に世界へと閉じ込めた。

【無印最終回からぜろつー、もしくはその間に初めてデジタルワールドのゲートが開くまで。太一たちは日常を過ごしながらもどこか塞ぎ込んで、彼らの間であの冒険の日々の話はしないっていう暗黙の了解ができてるんじゃないかなって話。そうだったら悶えるなって話。】

120820








知り合う前:タケル+大輔(02)

実は僕は、初めて彼を見る前から彼のことを知っていた。
太一さんたちの口からよく名前が出てきたからだ。
彼らの話から想像していた彼は、とてもじゃないけど友達になれそうにないタイプ。第一印象もまた然り。
だけど、想像なんて当てにならない。

今日も僕は、彼と彼らと共に冒険の世界へ向かうのだ!



分かりやす過ぎる人:賢+大輔(02)

彼はすぐ表情に出る。怒りも悲しみも喜びも、全てが筒抜けだ。
そんな彼のパートナーになった僕は、少なからず彼の影響を受けているような気がする。

「賢、そんなに怒んなって。チョコやるから、な?」
「…怒ってないよ」
「嘘つけ!お前分かりやすいんだよ!」

…訂正。気がする、ではなく、確実に、だ。



残暑:太一(無印)

8月1日。オレたちの冒険が始まった夏の日。
こっちの時間にしてたった数日の、長い長い夏休みの冒険。冒険が終わりを迎えてから、もうすぐ1ヶ月が経つ。
暑さが和らぎ、蝉の声が次第に小さくなる。彼らの声も、やがて夏が去るように彼方へと消えてしまうだろうか。

――8月31日。夏休みが終わる。

【お題 http://shindanmaker.com/135668】

120831








背中にかくした素直な声:太空(02後?)

太一、と彼の名前を呼んでみる。
いつだって私の前にある背中は、気付けば大きくなっていて。
その背中を見る度に、どうしようもない寂しさが押し寄せてくる。
ああ、私はもう、彼の隣には並べない。

何だよ、空。
彼が振り返る。変わらない笑顔。
結局、私は言葉も想いも全部隠して、ただ曖昧に笑うのだ。



「きらい、だった。」:タケル+賢(02)

目の前で深く頭を下げる彼。この状態でかれこれ数分は経過している。
彼は、こうやって一人一人に頭を下げて回っているのだろうか。ご苦労なことだ。
謝ったって過去の出来事が変わるわけでもない。

――だから僕は、動かない過去を変えるより、真っ白な未来を変えることを選ぶんだ。

さあ、未来へ行こう。



まぶしすぎる未来:無印から13年

13年の月日は、世界の仕組みを大きく変えた。
数年前、怪物だと恐れられた彼らの名称は広く世界に知られるようになり、人間と彼らの関係はより友好的なものとなっている。
あの日に子供だった彼らが大人になって。あの時に望んだ未来が、もうすぐそこまでやって来ている。

――ねえ、君のパートナーは?

【お題 http://shindanmaker.com/122300】

121029








夢の続きをどうか、:ルドガー(TOX2)

当たり前の日常の中で当たり前の幸せが欲しかっただけだった。
その当たり前の日常の中に大切な人がいて、大切な人の隣で一緒に笑っていられたら。それだけでよかった。
この運命を呪わしいとは思わない。選択が間違っていたとも、やり直したいとも思わない。

ただ、願ってもいいならば。
ああ、どうか、



何処にもいかないでと手を繋いだ:ルドエル(TOX2)

怖い夢を見た。
大切な人たちがいなくなる夢。ひとりぼっちになる夢。
怖かった。涙が出た。声を殺して泣いていた。
どうしたんだ、って優しい声が降ってきた。温かい腕に包まれた。
エル、名前を呼ぶ声に、とても安心した。
頭を撫でる大きな手をそっと握る。

目が覚めても、この手が繋がっていますように。



もう君には届かない:X2メンバー(TOX2)

ありがとう。ごめんなさい。
君に伝えたい言葉がたくさんある。
ただいま。おかえり。
もう伝えられない言葉がある。
いってきます。いってらっしゃい。
伝えればよかったと思う言葉がある。
さようなら。伝えなければならなかった言葉がある。

だいすき。あいしてる。
だけど全部、もう君には届かない言葉。

【お題:http://shindanmaker.com/135064】

130105








「いい加減離してください」

俺の服の裾を力一杯握って俯いている勇者さん。
離せ、と言えば言っただけ力が入る。まったく、素直じゃない。

「一緒に行きたいならそう言えばいいんです」

俺の声に顔を上げた彼は情けなく眉を下げていて、馬鹿だなあと笑ってしまった。
ここに残る、と言ったのは自分の癖に。

「だってシオンはクレアさんと、」

震える小さな声。何でこんなに意地を張っているんだこの人は。
呆れて溜め息をつこうとしたら、腰に衝撃。

「ずるいー!二人が一緒に行くなら私も行くー!」

下を見ればびーびー泣く魔王。少女に感化されたのか、遂に勇者さんまで泣き出した。

「ボクも一緒に行くー!」

【せんゆー2章60話。一緒に行きたいけど我慢してる勇者さんと一緒に来たいなら来ればいいじゃんって呆れてる戦士さんと二人が一緒に行くなら一緒に行きたい魔王さんの話。】

130215








記憶の中でしか生きられないあの人の、そのやわらかい笑顔を思い出す。
いつだって優しく私の手を引いて、その背に私を庇い、彼の命で私の生きる未来を繋いでくれた。
その手の温もりも、笑顔も、私の名を呼ぶ声だって。こんなにも愛しいのに。
この気持ちに名前を付ける時間すら、あなたはくれなかった。

【3月10日の誕生花はアネモネ。花言葉は『はかない恋』。:ルドエル(TOX2)】

130310








どうして勇者になったの、と問うと、母さんに楽させたかったんだ、と答えた。
どうして人助けをするの、と問うと、困ってる人が放っておけないんだ、と答えた。
どうして旅を続けるの、と問うと、あいつに笑ってほしいから、と答えた。

いつだって誰かのために動く彼を、救いあげるのは一体誰なのだろう。

【3月11日の誕生花はユキヤナギ。花言葉は『殊勝』。:アルルキ(戦勇。)】

130311








取り戻した友と笑い合う彼を見て、これで良かったのだと心の底から思えた。
だから自然と頬が緩んだし、自分の行動を誇りに思った。
笑って、いってらっしゃい、と送り出せた。

瞼の裏に焼き付いた、遠ざかっていく彼らの背中。
何度も思い出しては、その姿はボクの幸福だったろうと、そう言い聞かせた。

【3月12日の誕生花はレンゲソウ。花言葉は『私の幸福』、『あなたは幸福です』。:アルバ(戦勇。/2章後)】

130312








銀ちゃん、名前を呼ぶ。
ふわふわしていてどこかに飛んでいきそうになるこの男を捕まえておくには、誰かがしっかりと手綱を持って地に縛り付けておかないといけないのだ。
銀ちゃん、名前を呼ぶ。
あの男は、人に優しいから。名前を呼んだ私を放って、どこかに行くなんて。
そんなことはできないでしょう?

【3月13日の誕生花はイカリソウ。花言葉は『あなたをとらえる』。:銀神(銀魂)】

130313








燐はすごい。
強いし、優しいし、明るくて、誰にも負けない心を持っている。
私だったらきっと挫けてしまうようなつらいこともたくさん経験しているのに、彼はいつも楽しそうに笑っている。
自分のことなんか顧みず、人の心配ばかりしている。
それが彼の本質だ。

だから怖くない。私はもう怖くないよ、燐。

【3月14日の誕生花はカモミール。花言葉は『逆境に負けぬ強さ』、『仲直り』。:燐しえ(青エク)】

130314








死ぬことは怖いし、生きていたいと思う
。生きて、呼吸をして、笑い合って。そんな当たり前の幸せを享受したかった。
だがそれ以上に、幸せになってほしい人たちがいる。彼らの為ならば命さえも惜しくはない。本当だ。

「だから俺は、消えることは怖くないよ」

そう言ったら彼らは、怒ってくれるだろうか。

【3月15日の誕生花はドクニンジン/ワスレナグサ。花言葉は『死も惜しまず』/『私を忘れないで』。:ルーク(TOA)】

130315








届かない。

「ねえ、」

届かない。

「ねえ、」

手を伸ばしても届かない。声を出しても届かない。足を踏み出しても届かない。

「どうしてよ」

剣を構える彼は動かない。
同じ色の瞳だけが薄明かりに揺らめいて、そこから暗く、剣の切っ先のように鋭い、彼の意志を感じた。

「…どうして、」

もう、彼は戻らない。

【3月16日の誕生花はハナズオウ。花言葉は『裏切り』。:ルーティ(TOD/海底洞窟)】

130316











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