▼ 蹂躙
※NTR注意。スナイプ落ち
「離して……!」
どんなに身を捻っても、拘束を抜け出すことはかなわない。強く掴まれた腕が痛くて顔を顰める。ゲンムはお構いなしにそれを捻り上げる。骨が軋んで、神経が擦り切れそうだった。
「っ……」
「名前!」
傷ついて起き上がる力もほとんど残っていないスナイプが、必死に手を伸ばす。振りほどいて駆け寄りたいのに、それができない。そんな私達を、ゲンムは嘲笑う。
「お前には誰も救えない」
ゲンムに顎を捕まれ、無理やり上向かされる。
「やめろ……、名前を傷付けるな……!」
このまま殺される、全身を恐怖が駆け巡る。心臓の音がひどく大きく響いた。
怖い。怖い。助けて。
「大我……っ」
「そこで這いつくばって見ていろ。己の無力さを思い知るがいい」
「名前!」
ゲンムのひやりとした指がシャツのボタンを裂いた。ボタンは簡単にはじけ飛び、下着が露出する。
その行為の意味を悟り、死の恐怖とはまた別の嫌悪感が湧き上がってきた。
「やだ……っ」
拘束されていた腕が離される。逃げ出そうとする前に、首をしっかりと抑えられた。息をするのが苦しく、身体に力が入らない。ゲンムはもう片方の手で下着をずらし、中に指を滑り込ませる。人肌とは違う、つるつるとした肌触りにびくりと身体が震えた。
「んっ!」
叫ぼうとした口に彼の中指と人差し指が押し込まれ、舌を押さえつけられる。唾液がうまく飲み込めず、口の端から喉を伝うのが不快だった。
「てめぇ! やめろっつってんだろが!」
スナイプがじりじりと身体を引きずり、こちらへと身を乗り出す。でも、遠すぎる。
今の自分の痴態を想像するだけで涙が溢れた。こんな姿、見られたくない。
どうしてこんなことするの。
彼をそんなに痛めつけて、どうするっていうの。
やめろと叫ぶスナイプの声に苛まれる。こんな恥辱を受けるくらいなら、殺されたほうがましだ。せめてもの抵抗に、ゲンムの指を思い切り噛む。しかし、スーツの前には歯も立たない。
ゲンムの手は胸から下へ降りてきて、私は必死に腰を捻って逃げようとする。しかし、ゲンムの足がしっかりと私を押さえつけていて、動けない。
「んんっ!」
お願い、スナイプにこんなところ見せないで。
「濡れているな……」
耳元で囁かれ、ぎゅっと目を瞑り、顔をそむける。しかしゲンムはそれを許してはくれなかった。
下着を取り払うと、片足を持ち上げ、その下に足を入れて固定し、恥部をスナイプの眼前に曝け出す。
「ん、ふぅっ」
ゲンムはわざと割れ目を指で広げると、中から滴った体液が太腿を伝った。見られている罪悪感と、こんな状況でもなお感じてしまう背徳感に身体が震える。
「柔らかく、熱い……」
ぐちゅり、と音を立てて二本の指が中を掻き回す。思わず腰が跳ねてしまい、抑えようとすればするほど、隠そうとすればするほど、反応が大きくなってしまう。
いや、見ないで、見ないでスナイプ。
お願いだから、見ないで。
「これまで何度、あの男に舐めてもらったんだ?」
「っ!」
淫猥な言葉で責め立てられ、耳まで真っ赤になる。脳の芯がくらくらして、ともすれば考えるのを止めてしまいそうになる。
やめて、やめて。やめて。
「っ、あ、いや……!」
「すっかり準備が出来ているようだな」
「いらない、やめて、お願い、やめて、それだけはっ」
「てめえの狙いは俺だろうが……! なぜ名前を!」
ゲンムが地面に這いつくばるスナイプに目をやる。
「自分の女が目の前で犯される気分はどうだ? スナイプ」
「……っああああ!」
ゲンムが後ろから昂ぶりをねじ込んできた。一瞬意識が飛ぶ。
「あっ、ああ、あっ、あっ!」
そのまま息をつく隙もなく突き上げられ、揺さぶられるまま嬌声が喉から溢れた。
「いやっ、や、見ないで、っ見な、あ、ああんっ」
「名前……!」
絶望的なスナイプの声で名前を呼ばれることすらもはや快楽を強める甘い響きだった。痛みと苦しみが綯い交ぜになり、もう何も考えたくない。ただゲンムのモノが与えてくれる刺激に鳴き声を上げるだけの肉塊に成り果てたい。
「や、あ、ゲンム、ゲンムっ」
「ふ、もっと声を聴かせてやれ、名前」
「ゲンムぅ……!」
「名前……っ」
後ろから突き上げられながら、胸を激しく揉みしだかれる。ゲンムが吐き出したものは私の中に留まりきらず溢れ出し、太腿を熱いものが伝った。
「あ、ああ……」
引き抜かれるのと共に、全身からさあ、と熱が引く。絶頂は一瞬だった。そこから、奈落の底に突き落とされる。
「よかったよ、名前」
ゲンムはあざ笑うように囁いて、私を突き飛ばした。自分の足で立てず、私はスナイプの側に倒れる。惨めで恥ずかしくて、消えてしまいたかった。
「名前……!」
それでもスナイプが、手を伸ばしてくる。もう私はその愛撫を受取る資格なんてないのに。
「名前」
泣きそうな声で私を求めてくれる。のろのろと腕を伸ばし、スナイプを助け起こすと、変身を解くのも忘れたように私を抱き寄せた。彼の腕にすっぽり収まると、アーマー越しに彼の鼓動の音がよく聞こえた。
「すまない、すまない、名前……!」
涙が溢れる。ただ彼を愛したいだけなのに。
もうそれすらもできないの?
反射的にスナイプを押しのけようとすると、さらに強く抱きしめられた。マスク越しに、彼が私の顔を見つめている。
「……っ、スナイプ……!」
スナイプの手が慰めるように背中を撫でる。もう片方の手が気遣うように、控えめに、脇腹に触れた。私はそこに、躊躇いながら手を重ねる。
「ごめんね……私、もう……」
「違う。お前は悪くない。あんな……」
スナイプはもう一度抱きしめてくれる。そして、太腿の汚れを拭い、秘部の周りを丹念に拭う。
「忘れろ。今、俺が忘れさせてやる」
「あ……っ」
「お前は俺のことだけ考えていればいい。俺だけ感じればいい」
「スナイプ……」
スナイプに抱きしめられながら、肩に顔を埋める。彼の指が、優しく中へ入ってきて、ゆっくりと上下した。
「あっ……」
スナイプの固い胸板に胸を押し付ける。たくましい背中に腕を回し、もう二度と離れないよう、ごつごつしたパーツに引っ掛けた指にぎゅっと力を込めた。向き合って座ったまま、スナイプは私を抱き上げ、お尻を浮かせると、ぐっと挿入してきた。熱くて、固いそれは、待ち望んでいた瞬間を迎えて、膨張し、うねった。
「んっ、あ、スナイプっ!」
「はぁ、名前……っ、しっかり、捕まってろ……!」
「ん、スナイプ……あ、あっ」
ぎゅう、と下腹部に力を込めて、ありったけの思いでスナイプを抱きしめる。スナイプの上擦った声からどんどん余裕がなくなってくるのに合わせ、律動が早く、激しくなる。
もっとあなたで私の中を満たして。
何度も何度も、私を愛して。
「名前、愛してる……」
その声に縋って、絶望しそうになる心を奮い立たせる。快楽をそれ以上の愛情で上書きして、低い掠れた嘲笑う声をかき消す。
「スナイプ……」
彼のモノが子宮を満たして、私はようやく少しだけ息を吐いた。