この世に変わらないものなんてないよね。
わかってる。
それは君の気持ちだって同じなんだ。

「恭弥」

そう呼ぶ君の顔。
前よりも笑顔が少なくなっている。
昔は一緒に居るだけで笑ってくれていたのに…。

どこでこうなったんだ?
…わからない。

時間を巻き戻したら違う結末を迎えられるだろうか。…なんてね。
僕らしくもないことを考える。
そんなことを考えたって遅いことはわかってる。
だから、せめてすべてが終わってしまう前に聞いておきたいことがあるんだ。

「ねぇ、ユキ」
「なに?」

――僕はどう変わればいい?
なんて言える勇気なんてない。

「ごめん。なんでもない」
「そう…」

君の、なんだか冷たいような、寂しいような表情。
…君は何を期待してるのかな。

君にどう接したらいいのかな。
君は、どう思っているのかな。

最近、あんなに近かった君の存在が遠く感じる。
こんなに近くに居るのに、今は誰よりも遠くに居る気がするんだ。
そんな不安を消したくて、君に話しかけようと思った。

「ねぇ、ユキ」
「あのね、恭弥。無理に側に居てくれなくてもいいよ」

君の言葉が胸に刺さる。
その後も彼女は何かを言っていたけど、僕には聞こえなかった。
…君には僕が無理をして一緒に居るように見えたの?
そんなはずはないのに。

…まさかね。
君はもう僕と一緒に居たくないのかな?
君はもう僕と居るのは楽しくないのかな?
そんなわけ、ないよね?


…なんで愛は戻らないのかな。
一度失ってしまったらもう二度と元には戻らないよね・・・。

――ねぇ、君は僕と居て幸せだった?

全てが終わる前に聞きたかった。
でもそんなことを聞ける強さがあるなら僕らはもっと自然でいられたのかな。

ねぇ、ユキ。
僕はどう変わればいいのかな。

なんて聞ける勇気がなかったから、君は僕に愛想をつかしたんだよね。
わかってるんだ。
それを聞けたところで僕は変わることなんて出来ないだろうって。

…結局僕らはこうなる運命だったんだよね。

さようなら、ユキ。
世界でたった一人、僕が愛した人。

すべてが終わってしまう前に

――聞いておけばよかったな。

arata『すべてが終わってしまう前に』



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