夕飯ですよ。
「ユーリスー?」
部屋に入ると、探し人の姿があった。
(寝てる…)
しかし彼は眠りが浅い。
もしかしたら起こしてしまったかも。
いや、どうせ起こさなければならないが。
夕飯の支度ができたのだ。
早くしないとマナミアに食べられてしまう。
それでも慎重に近付くと、俺はベッドの横にしゃがんだ。
ユーリスの寝顔はゆっくり見ていたいくらい綺麗だ。
眠っている間しかこんな風に見ることはできないし。
「ん……」
瞼が震える。
もう起きてしまうみたいだ。
俺はその瞬間を待った。
───ゆっくりと薄青の瞳が開いた。
「…っ……何してるの」
「見とれてた」
薄青の瞳が俺を映す。
そして不快そうに眉を寄せると体を起こした。
「何の用」
「夕飯できてるよ」
「いらない」
吐き捨てるように言うと彼は俺に背を向けて本を読み始めた。
ちゃんと食べてもらわないと困るんだけどなぁ。
ただでさえユーリスは細いし。
クォークは傭兵向きの体じゃないって気にしてるし。
何かいい方法…
「ユーリス」
「………っ!?」
「よっ…と」
俺はユーリスの前に回り込むと、本を奪って抱き上げた。
身長のわりに細い体は軽々持ち上がる。
「な、なんだよ!?」
「ユーリスは軽いなー女の子みたいだー」
「ちょっと」
「男らしい体にするならしっかり食べなきゃなー」
「今すぐ下ろさないとプロ」
俺は素直にユーリスを下ろした。
さすがに焼かれたくはない。
怒っているのだろうか、少し顔が赤い。
普段からは想像もつかない表情だ。
「……先、下行くから」
「俺も一緒に行くよ」
どうやら俺の作戦は成功したようだ。
ユーリスが部屋の外に向かう。
横に並ぶと、鋭く睨まれた。
しかしその後はいつも通り。
俺の存在なんて構わずさっさと歩いていく。
「ユーリスは何が好き?」
「……」
「それぐらい教えてくれてもいいだろ?」
「……ほっといて」
つれない。
俺を視界に入れようともしない。
いい方法ないかな…
「エルザ!ユーリス!遅いぞ!」
「うふふ、おいしいですわ」
「まずい、マナミアに平らげられる!」
俺は急かすようにユーリスの腕を掴んで食事の席に向かう。
後ろを見ると驚いたように目を見開くユーリス。
「ほら、しっかり食べないと」
「……お節介」
「え?」
「なんでもないよ」
ユーリスが席について食べ始める。
何か言われたような…
「エルザさん、食べないのですか?」
「食べる食べる!」
とりあえず食べよう。
マナミアに奪われてしまう。
食べ終わったらまたユーリスと話そうかな────
──────アトガキ───────
ユーリスにうざがられるエルザの図(^ω^)
きっと仲間に入りたての頃からつきまとってたに違いない!
という妄想の産物。
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