気にしてるんスか?×黄瀬

※中学時代設定


「いや、王道のメイドっス!」

「ぬるいな黄瀬、ここはナースで攻めるぜ!」

「ボクは制服がいいです。」


とある放課後、ハードな部活の練習も終わり一軍の部室ではとんでもない会話でキセキの世代が盛り上がっているのでありました。それが一体どんな内容なのかと言いますと…


「え〜、赤ちんのコスプレでしょ?オレは猫耳とかがいーなあ」


というわけで。今この場にはいないあの帝光中のバスケ部主将である赤司征十郎のコスプレの衣装についてのことでした。あれだけ可愛ければ何を着ても似合うだろうと零した黄瀬の一言が元凶です。
当の本人の天使サマはというと、顧問の先生と話があるらしく着替える間もなく職員室に行ったっきりかれこれ10分ほど戻ってきていません。


「俺は白のワンピースとかがいいと思うのだよ」

「あー!でもその路線でいって純白のウエディングドレスとかもいいっスね!」

「真っ赤のドレスも似合うと思いますけど」


次は緑間のワンピース発言が発端となり今度はウエディングの話に。天使サマがウエディングドレスを綺麗に着飾るのなら、一体誰が隣にいるのだとか…
そんな話をされているのだとも知らない天使サマ本人は、ゆっくりと体育館を抜け部室の前へと辿り着いたのであった。

…あれ、まだみんな残ってたのか。
何かすっごい楽しそうな話し声が聞こえるんだけど

中に入ったら聞こう。そう思ってドアノブの握り扉を開けた。



「お前たち、何の話をしてるんだ?」

「あ、赤司っちいいいいいい!?」

「黄瀬、何故そんなに驚くんだ?それより外までお前たちの楽しそうな声が響いてたが一体どんな話で盛り上がってたんだ?」


赤司っちは口元を緩めて次に俺たちが発する言葉をまるで心待ちにしているようで…
内容を聞かれてたらハサミを持ってきて一人一人刺されていたかもしれない。だけどどうやら本当に聞こえていなかったらしい。
だけどこんなこと赤司っちに直接言えるはずもなくて。


「何でもないっスよ!」

「何でもないのだよ。…さ、着替えるのだよ」

「何でもないです。赤司くんは気にしないでください」


淡々とみんなして赤司っちをこの話題から突っぱねる。明らかに挙動不審な態度だと気づいているはずなのに赤司っちは何も言わずに「そうか…」と少し残念そうに自分のロッカーの前に立った。
そんな赤司っちの背中を見ながら俺はさっきの話の妄想を頭の中で繰り広げていた。
メイド服赤司っち、純白のウエディングドレス赤司っち…
すると鼻の辺りから何か垂れてきている、そんな気がした。


「てめ黄瀬っ、鼻血出てんぞ汚ねえ!」

「うわ、黄瀬ちんホントだー」

「黄瀬、大丈夫か?どうしたんだ?」


隣にいた青峰っちが俺の顔を見てとんでもなく酷い顔をした。それに気付いた紫原っちが便乗して顔を歪めた。部室にいた他のメンバーも俺の鼻血を見て引いたような顔をしている。
だけど赤司っちだけは心配そうに話しかけてくれた。マ、マジ天使っス…!!


「赤司くん。汚い黄瀬くんは放っておいて着替えましょう」

「赤司、あんな奴は心配するだけ損なのだよ」

「え?あ、あぁ…」


しかし赤司っちは黒子っちと緑間っちに促され、囲まれてまた着替えを始めたらしい。

…そんな。赤司っちいいいいいいい



「…ところで、本当にさっきは何の話をしていたんだ?」

「い、いやだから教えられないっス…」

「赤ちん聞きたいの〜?」

「い、いやそんなことない、が…」


みんなで一緒に部室を出て家路に着く。
赤司っちはどうやらさっきの話がどうしても気になるようで。というよりは自分だけが知らない内容でみんなが盛り上がっているのが嫌らしい。

俺もそれされたら嫌だしねー。

すると赤司っちは頭を下げてうな垂れ、みんなが一斉に同じことを思った。


((((((あ、落ち込んでる))))))


「別に俺は気にしてなんかないからな」


だけどそんな自分の感情を悟られたくないのかすかさずそんなセリフを口にした。


「…ハイ」

「おー…」

「わかってるのだよ」


だけどあからさますぎるそんな態度をたかが一言だけでフォローするなんて無理なことで。
一応みんな返事はしたのだが、内心は


(ションボリしてる赤ちん可愛いー)

(拗ねた赤司っちもGJ!)


…hsっていた。

それからはその話題になることはなく、みんなの家の方向が見事に別れる十字路に差し掛かり、各々足を踏み出して別々の道で家を目指す。

…ああ、赤司っちの純白のウエディングドレスって綺麗そう。
俺、黄瀬涼太はまだ赤司っちのコスプレ妄想を繰り広げていた。


「俺、みんなに嫌われたかな…?」


天使サマは意外とズルズル引きずってしまうタイプなのでありました。
こうして今日も赤司くんの可愛い一面が見れたのでした。









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