勘違いですか?×黒子

うち(帝光中)の中学時代の元キャプテン、マジ天使だと思います。
何でかと問われてもお答えできません。何故なら、天使だからです((ドヤァァ


「テツヤー」

「あ、赤司くん。どうしたんですか」


何やら少し不満そうな顔をしながら僕に近づいてきたボクたちの天使こと、赤司征十郎。
高校ではかなり遠く離れてしまったけれどもたまにこうして会ったりする。今日は休日。お互い私服で待ち合わせ場所でめぐり合う。
いつもならなんか自信有り気に歩いて来る赤司くんだけど、今日は何故か頭の上で手のひらをヒラヒラさせている。日差しか虫でも気になるのだろうか。
声が届く程度まで近づくと彼は僕を見ずにヒラヒラさせている自分の右手を見つめながら話しかけた。そんな行動までもが可愛いと思ってしまうのは置いておいて、とりあえず平常心のまま返事をした。
すると赤司くんは悔しそうに口をへの字に曲げて言った。


「なんで僕の身長は伸びてくれないんだ。成長ホルモンとか考えて夜の10時には寝てるのに!」


ポン、とヒラヒラさせていた右手をため息零しながら頭の上で落ち着かせた。
どうやらまだ身長のことを気にしているようだ。中学時代はやたらと大きな人たちが周りにいて、背が低い僕とわりと平均身長な赤司くんは毎日のように自分の背の低さに不満を感じていた。
だけど高校に進んでからは中学時代よりはチームの平均身長は圧倒的に下がり、そこまで気にしていないと思っていたのだが…


「まだ気にしてたんですね」

「いや、でも僕の身長は男子高校生の平均身長だと思うのだが、それじゃダメなんだよな、多分」


どうやらかなり凹んでいるらしい。目の前にいるのが赤司くんではなく犬だと想定すれば、尻尾と耳があからさまに垂れ下がっているであろう状態。
いつもの強気な発言を言ってのける強気モードとは違い今日は一段と弱気モードなのか。だけどそんな赤司くんもとんでもなく可愛いです!!!
すみません、赤司くんっ!


「でも平均身長いってるならいいじゃないですか。ボクなんて168ですよ。まだ160台なんですよ、」

「これからまだ成長することを祈ろうか、テツヤ。」


腕をくんでお決まりのポーズを取るとどこへ向かうのか先に歩き出した赤司くん。
そんな赤司くんから離れてしまわないように足早についていく。168のボクに少しでもいいから身長を分けてくれとは思う。208pの紫原くんを二人で恨んだこともありました。
けど赤司くん。ボクたちは貴方に身長伸びて欲しいとは思ってません。天使はが低いからこそ天使の赤司なのだと崇拝しているからです。
隣にいる赤司くんをチラ見してみるとたしかにボクの方が少しだけ、ほんの少しだけボクが見上げる形になってしまう。こんなの、これから先一生変わらない身長のことだから、仕方ないとは思うけど…


「どのくらい伸ばしたいんですか?」

「え?あー…そうだな、今のままでいいかな。これ以上伸びたら切らなければ」

「…は?」


突然訳の分からないことを言い出した赤司くん。思わず目が点になり呆気にとられたようマヌケな声をを出してしまった。今までと言ってること真逆だし、 これ以上伸びたら切るって…
急にどうした?と不思議そうに首を傾げながら僕を見つめる目の前にいる赤司くん。いやいや、そのセリフは僕のですよ。と言いたいところだがグッと飲み込んだ。

自身の後頭部に手を伸ばして真っ赤に染まったキレイな髪をしきりにいじりだした。
…まさか赤司くん?勘違いなんてしてませんよね?


「赤司くん、ボク髪の毛の話なんてしてませんよ?」

「え。そうなの?」


そうなの?って…
どう考えても今の流れで髪の毛の話にはいかないでしょう。勘違いしていたことにちょっと恥ずかしそうに今度は雑に髪を触り出した。
でもそんな赤司くんも可愛くて。今は他の人たちはいないし今だけ赤司くんを独り占めできると思ったら嬉しくなってきた。


「テツヤ、笑うな」

「笑ってませんよ。」

「いや、笑ってた。僕をバカにしたのか!」

「してませんって。ムキにならないでください」

「でも笑ってた…」


確かに少し笑ってしまった。でも笑ったというよりは、微笑ましいと思った程度だろうか。だけどそんなボクの態度が気に入らなかったのかムキになって怒り出した。
…ハサミを出さない分まだマシですが。


「あ、もうみんないるな」

「ホントですね。」


遠目に見ると桃色、青色、緑色、黄色、紫色となんともカラフルな集団が見える。隣にいる赤司くんはなんだか嬉しそうに微笑んでみんなの方を見ている。心なしか足取りも軽くなっているようで速くなっている。
久しぶりに会えるのが、嬉しいんですね。


「あっ!赤司っちに黒子っち!」

「やあみんな。久しぶりだね」

「赤ちーん。会いたかったよー」


両手をあげて犬みたいに喜びながらこっちに手を振る黄瀬くんに、のっそりと赤司くんに近付いて抱きしめた紫原くん。
ちょっと悔しい。


「赤司、久しぶりなのだよ」

「真太郎元気そうだな」

「赤司くん久しぶり!」

「大輝の面倒お疲れ様。」

「ハァ?俺別にさつきに面倒みてもらってねーし」

「素直に感謝しろ。」


みんなで赤司くんを囲んで盛り上がる。
ボクたちの天使はまだまだ健在です。


「テツヤ?」

「あ、ハイ」


そしてボクのことも決して見落とさない。ぼーっとしていたボクに声をかけて置いてかれないようにしてくれるのもいつも赤司くん。


「今日はどこに行こうか?」

「そうっスねー!」

「こないだのとこなんていいと思うのだよ」


でも、今日の勘違い赤司くんを独り占めできたのはボクだけですからね。




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