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ったく。
今はイライラしててしょうがねえ。
何がそんなに癪に触ったかって、良だよ、良。
アイツが良だからわりーんだ。
なんて他人からしたらよく分からないだろう理由で良の所為にした。
しかも、アイツ最近本当によくわかんねーし。
俺が何したっつーんだよ…


「つーか、俺嫌われたわけ?」


あれからずっと屋上にいたけど、少し寒くなってきたから帰宅することにした。
…俺だって、良と両思いだってわかった時はすげー嬉しかったのに。
今だってすっげー良が好きなのに。
だけどアイツは俺じゃない誰かに向いているのか。
求めているのは俺じゃねーってのかよ。
苛立ちもそろそろ限界に達しそうだった頃、そんな俺のことを察したのかポケットに入れていた携帯が着信を告げる。
無造作にポケットに手を突っ込んでかけてきた相手を確認した俺はすぐに出た。
そして相手の名前を口にした。


「良」


この電話が一体何を告げるものなのかは俺には分からない。
想像もつかない。
…けど、もしもこれで全てが解決するなら

口にしたあとに電話口に流れるのは沈黙だった。
普通向こうからも何か言ってくるもんなんじゃねーのかよ。
痺れを切らした俺は再び口を開いた。
次に言おうと思っていたその言葉は俺の耳に素直に、入ってきた。


「今から、会えませんか。」


良から出たその一言がいつになく俺の胸に響いた。
どんな顔をしてどんなことを思って言い出したのかは分からない。
けど一つだけわかったことは、良が、泣いていたってこと。
次々とおれの耳に入ってくる良の言葉は俺の胸をいっぱいにさせるにはあまりにも十分だった。
最後に場所を指定されたときにはもう殆んど何を言ってっかわかんねえ状態だった。
だけど一つだけ聞き取れたこと、それは


「大切、な…場所…」


場所を告げると向こうから一方的に切られてしまった。
踵を返してアイツのいる場所へと急ぐ。
何も考えなくていい。
ただ俺は、アイツの元に行くだけ。

ーそれで良を抱きしめられるのなら






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