五時間目に回される紙

*黄瀬が相変わらず不憫だよ、可哀想だよ!←
*モブ(男)目線だよ!!
*帝光時代、キセキみんな同じクラス!



「この文法を使うことによって、強調される語が出てきますが…」


あー、ダルい。さっきまで昼休みでワイワイみんなで騒いでた筈なのに。つーか五時間目が英語ってどうなのよ。普通に眠くなんだろ、しかもよりによってあの先生の授業とか余計眠くなるわ。このまま起きててもどーせつまんねー内容しかないんだから寝てた方がマシなんじゃね…?


「おい黒子。これはなんなのだよ」

「知りません。青峰くんから回ってきました」

「なんなのだよ、これは…」


一番後ろの俺の席からは、前の奴等が何をしてるのかがよく分かる。寝てる奴だっているし内職してる奴もいる。それにあいつらみたいによくわかんねーけど紙を回して笑ってる奴もいる。…にしてもやけに楽しそうな顔してんな、青峰。っていうより悪い顔?


「これは誰に回せばいいのだよ」

「隣の人でいいんじゃないですか」

「…おい、これ回ってきたのだよ」

「あ、うん…」


取り敢えず暇なので俺は回されてる紙の行方を追った。青峰を最初に紙は次に黒子に渡され、次は黒子の前の席の緑間に渡った。そして次は何故か黒子に指示された通り緑間の隣の席の女子に渡った。
渡された女子は紙の中身を見るなりかなり慌てた様子で緑間を凝視し始めた。…何かを訴えようとしているのだろうか。


「み、緑間くん、こ、これ…」

「俺は何も知らん。何かあるなら青峰に聞け」

「うん…あ、青峰くん…」

「あ?紙に書いてあんだろ。お前の素直な気持ち書いとけ」


緑間には関わりたくないと言わんばかりに突き放され、青峰に助けを求めようにも軽くあしらわれた彼女は仕方なく紙に何かを書き始めた。素直な気持ち書いとけ、って言われてどんなこと書いたんだろうか…すると書き終わった彼女はまた隣の男子に渡した。渡されたやつは一瞬困ったような顔をしたがまた仕方なく受け取り何かを書き込んだ。


「…紫原、これ」

「えー、お菓子ー?」

「見りゃわかんだろ。紙だよ」

「紙ー?」


寝ぼけてんのかなんなのかわからないが五時間目の睡魔に襲われてダウンしそうになっていた紫原にもついに紙が渡された。取り敢えず受け取った紙を見るなり誰がこんなことを始めたのか検討が付いたらしく、首を捻って青峰の方を見た。俺もそんな紫原の視線を辿り青峰を見ると紫原の視線に気付いたのか目を合わせるとすっげー悪い顔しながらもすっげー楽しそうなピュアな笑顔を紫原に向けた。
するとそんな青峰のピュアさ(?)に負けたのか紫原も紙に書き込み始めた。


「さっちん」

「え?これ私に?」

「回ってきたー」

「…まった、これ青峰くんね…!」


書き終わった紫原は後ろの席にいる桃井に紙を渡した。桃井は紙を受け取るなり事の発端が青峰であることを悟りため息をついてから紙をまじまじと見つめている。
たぶんこのまま紙の行方を追っても俺の元へは来ないので机に突っ伏して寝ることにした。俺の隣は赤司だし、こいつはくだらないと言って止めるに決まってる…



…ーと、思ったのだがその時は案外早くもやってきてしまった。


「回ってきた」

「…俺に?」

「そこら中で回ってたの気付いていただろう。くだらないお遊びに仕方ないから付き合ってやれ」


まさか赤司が止めないなんて。そんなことあるのかと思ったがちょっと楽しそうな顔をしていたので何も言い返せずに渋々回ってきてしまった紙を受けとった。一体青峰は何を考えているんだと紙を開けば一番デカイ文字で"黄瀬涼太のいいところ"と書かれていた。

…くっだらねー。こんなの回してたのかよ。
あまりにもくだらない内容で呆れた俺はみんながどんなことを書いているのかと見てみると、やっぱり無難に"かっこいい"とか"優しい"とか"面白い"とか"バスケ上手い"とか書かれていて所々あいつらが書いたであろう"犬みたい"や"うるさい"や"しつこい"などいいところではないものも書かれていた。

仕方ない俺も書くか。とシャーペンの芯を出して一番下を見ると…

"とりあえず闇の炎に抱かれて死ぬべきだ"となんとも厨二なコメントが残されていて俺は思わず吹き出してしまった。


「ブッフォwwwwwwwwww」


だが気付いた時には時既に遅し。全視線が俺に集まり、先生に名指しまでされてしまった。さらに隣の赤司までもが俺のことを不審な冷たい目で見始めたのでお前の所為だよwwwwwと言いそうになってしまった。

すみません。と必死に笑いを堪えながら謝罪したものの、紙を持つ手が震えてしまう。あの強豪バスケ部の主将赤司がこんな重度の厨二だったとはwwwwwいや、それよりやっぱり黄瀬不憫だwwよくみてみれば小さく"KSとはカス、クソ、黄瀬である"とか"駄犬は大人しくハウス"とか"金髪ピアスとかチャラ男か、シャラ男か!笑"とかまあえげつないこと書かれているわけで…
そこに俺は仕方なく、"KSになら抱かれてもいい♂"と書いた。

後にこの一文を書いたことで一生で最大の後悔をすることになることも知らずに。


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ごめんなさい。こんなことしか書けなくて…
因みにこれは実録で、回ってきた紙に"とりあえず死ね"と書かれていて吹き出してしまったところが実録です。
あの時は面白かったんですが…orz






「黄瀬、これ俺たちからの気持ち」

「?…何スか?」


ピラ…


「〜〜〜っ!!?何スかコレ!酷すぎっス!」

「何でだよ、全部お前の良いところじゃねーかwww」

「最後の一文なんか犯罪的じゃないっスか…!!!!」

「最後?」

「これっスよ!誰スか!」

「KSになら抱かれてもいい…♂!!?」

「ホモ!!?」

「うわ、黄瀬ちんホモだったんだー」

「違うっスよ!誰スか一番最後!」

「俺の次だから…吉野じゃないか?」

「吉…!!!!!?」


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