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    背が高くない、というのはどうにも不便だ。
    高いところには手が届かないし遠くのものは見えにくい。ショッピングに行けば陳列棚が高くてどこになにがあるかの表示が見えないままお目当てのものを探し回ったこともある。

    なにより、彼までの距離がとてもとても遠く感じるのだ。
    実際のところ私は彼の隣にいて私たちの間に距離はほぼないといっていい。けれど背が190超える彼と150ちょっとの私では、そのないはずの距離もあるように感じてしまう。

    彼の、レオリオのヘーゼルの瞳が遠い。光を反射していろんな色をとりこむ彼の瞳は私には眩しいくらいで、遠いくらいでちょうどいいと私以外なら思ったかもしれない。けれど私はもっと、もっと近くでみたい。


    「あー……ナマエ?」
    「なに、」
    「ち、ちかくねぇか?」
    「嫌?」
    「嫌じゃ、ねぇけどよ……。普段そんな風にしないだろ……どうした?」


    気がついたらレオリオの顔を正面からまつげの本数を数えられるくらいの距離で眺めていた。よほど奇妙な行動だったのか私のことを心配するようにそのままおでこを私のとくっつけてゆったりと問われる。


    「遠いな、と思っただけ」
    「なにが?」
    「距離かな」
    「これで?」


    くすりと小さく彼が笑った。
    おでことおでこをくっつけているこの距離でも遠いと言ったからだろう。





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