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痛い、痛い、いたい
腹部と頭部に感じる鈍い痛みは先ほどからその強さを増して、じわじわと私にダメージを与え続ける。生理現象ではあるがあいにく薬を切らしていてその痛みに顔を歪めて耐えることしかできずにベッドで布団にくるまる事しかできずにいた。
同居人ならば、鎮痛剤を持ち合わせているだろうがどうにも痛みの理由が理由で、女性特有のものであるからして同居人の彼にそれを伝えるのは少々……いやかなり恥ずかしかった。
「いっ、……」
痛さを和らげようと身体を楽な体勢に動かすが痛さは和らいでもそのポーズを長く続けることが困難なポージングである場合が多く、楽でなおかつ痛みを和らげるような体勢はなかなか見つからない。ひたすらうごうごしているだけで、側からみたら摩訶不思議な行動であろう。
「ナマエー?いるかー?」
「レオリオ!」
軽いノック音が数回したあと聞こえた聞きなれた声。男女うんぬんより、私はお医者さんのタマゴである彼をもう少し頼ってもいいんじゃないだろうか?そんな風に思い始めた。
「……どっか悪りぃのか?風邪か?」
「いやちょっと頭痛がするのとお腹痛いだけだから、だいじょう、ぶ……〜〜っ、」
「おいおい、大丈夫じゃねぇだろ。そんな痛いのか。風邪でももらってきたのか?変なもの食ったか?」
「ちが、……そんな大袈裟じゃないの。その……なんていうか、今月だけちょっと重いみたいで」
「重い……?……あっ」
そこまで悩んでレオリオはようやく合点がいったようだ。
「あー……鎮痛剤だな。持ってくるから飲んどけ」
「ごめん、ありがとう……」
互いに理解したせいで顔がほんのり熱くなる。恥ずかしい……。しばらくすると水の入ったコップと鎮痛剤を持って彼が戻ってきた。
「ほら、」
「ありがと……」
錠剤を2粒、口にいれてコップの水で流し込む。薬を飲むだけで気分的にも違うというものだ。……とは言いつつも気を緩めると一気に波がきたりするからこの痛みはいつまで経っても慣れない。
「……そんなに痛いのか?」
「ま、まあ……」
「俺は男だし、その痛みや辛さまったくわからねぇからなぁ……」
「……内臓が捩れてぎゅーってかんじ……」
改めて例えるとこの痛みは口に出すには難しいなと思った。女の子の日というのは身体への負担だけでなく精神にもくるからたちが悪い。私の場合は、人肌が恋しくなる。情緒不安定からくる寂しい気持ちなのかは分からないが、自分以外のだれかの体温が恋しくなる。
「レオリオ、こっち」
「ん?」
レオリオを自分の隣に座るように促して、彼の肩によりかかる。大きくてあったかい。
「すこしこうさせて、眠れそう……」
「……寝にくいだろ」
「ん……まぁ」
「添い寝してやろうか?」
「え、」
ほら、はいったはいった!とベッドへ促されて、レオリオも一緒に布団に潜り込む。ちょっとどきりとした。けどそれ以上にふわりと抱きしめられて、腰のあたりに置かれる手が温かくて落ち着く。いつもならこう……もっとスケベな触り方をするけれど今のは違う。優しくて労わるようなそんな触り方。
「ごめんね、なんもできないや今日」
「いーんだよ。たまには。おまえ顔色も良くないし夕飯もなんか出前でもとってうまいもん食べようぜ」
「レオリオが作ってくれるんじゃないんだ」
「この間俺が作ったやつ文句つけてたくせに、よく言うぜ」
「そういえばそうだった」
力なくゆるりと笑うと頭をわしわし撫でられた。
「んじゃー俺も寝るわ」
「うん」
「出前、何食べたいか考えとけよ」
「おっけー……おやすみレオリオ」
「おやすみナマエ」
(女子の日 end)
(2/2)
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