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    心臓の音や呼吸の音が聞こえているのは、生きている証。私とたしかに一緒に、ここに存在してくれてる証だ。なくならないでほしい。ずっと聞いていたい。消えないでほしい。

    もしいなくなってしまったら?
    とそのことを考えだしたらじわじわと目の奥から熱くなって、レオリオのパジャマを濡らしてしまう。
    我慢しないと、起こしてしまう。


    「ひっ、う……」


    もしもの話で決して本当の話とかそういうものではないのに、涙が止まらなくて彼のパジャマをできてしまった涙の跡はどんどん広がってしまっている。


    「……ナマエ」
    「!」
    「どうした、嫌な夢でもみたか?」
    「ごめん、起こしちゃったね」
    「あーあーつめてぇ手」


    ごろりとこちらに向きあったレオリオは私の顔にかかる髪を優しくよけて、頬を撫でる。そのまま目尻の涙のを指の背ですくう。あたたかい大きな手だ。泣いていたのがバレてしまった。


    「レオリオが、毛布とっちゃうから……」
    「それで泣いてたって?そりゃあ悪いことしたな」
    「……ちがうのわかってるくせに」
    「でもこの冷えた手足はそのせいだろ?」
    「……レオリオ」


    向き合ってくれたレオリオに抱きついて胸に顔を押し付ける。だいすき、優しい手も大きな背中もタレ目のおだやかな瞳も私より低い声も大好き。私の、だいじなひと。


    「なんだよ、ナマエ可愛いやつ」
    「……」


    いまだに気持ちが落ち込んでいる私をみて彼もなにかを感じたのか、ひとつ私に近寄ってからレオリオもまた私をだきしめてくれた。愛されてるなぁ、私。互いに背中に回した腕に力をこめる。あたたかいのと、抱きしめられている心地よい圧迫感が、とても安心する。


    「レオリオ、ありがとう」
    「?」
    「一緒にいてくれて。隣にいてくれてありがとう。ありがとう……おやすみなさい」
    「それをいうなら俺もだ。さ、寝ちまおうぜ」


    今度はあたたかいぬくもりと毛布で寒さのせいで目が醒めることはなさそうだ。

    朝まで、おやすみなさい。





    (温度 end)





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