熱帯夜、バケツをひっくり返したような




雨の音は、好きじゃない。
どうしても、耳から離れないから。
そう言って君はタオルにくるまる。
熱帯夜、意地を張る。
なんて、なんて可愛い馬鹿。

僕は、うずくまる君を抱きしめる。
なんなの、と呻く。
なんでもないよ、と言うと、君の体は少し弛緩した。

好きだよ。
この雨が止むまで、傍にいてあげる。
そのあとは、知らないけど。





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