the story of milky way 'n' sheep




会いたい、そう思ったのは何度めか。
幾つ羊を数えてもまぎらわせやしない。
嘘ばかりつくくせに、
笑顔だけは柔らかくて、
大人びた顔で、
悲しいかな、
君にだまされてばかりだ。

くだらないと
貶すように
口角をつり上げるのが堪らなく好きで。

さながら転がされる独楽のように
知らないふりをして
好きだ好きだと
背をつついていた。

そんな君が遮る、
七夕に
散りばめられた川。

つれない態度で
手を繋いでそれでも、
隣にいるから、
なんだか、信じたくなってしまった。

似つかわしくない、
濡れた目も、
ねっとりとした湿気で不快だ。

飲んでも浮かぶあの夜の記憶。

はじめてキスをした七月の七日。

一人思い出す。
二人の距離。

平気だと笑っても、
ほら、
まだ、
未練がましく。

無駄なのに、
女々しく、
もがく。

やっと忘れられたと思った。

ゆっくり過ぎるときのなか、
ようやく。
楽になれると。
凛とした声も忘れる。
瑠璃色のネックレスも忘れる。
檸檬みたいな香りも。
論理的とは程遠い口調も。
忘れたはずなのに鳴る安いメロディ。

「……を、まだ、好きで、ごめん、ね、」

「ん……そっか」






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