乙女心は勘違い
柳様 総司×神楽
▽神楽→薄桜鬼
神楽が京にトリップしてから数週間。生活にも大分慣れ、特に不自由なことはない。ある一つのことを除けば。
「のあー。着物って難しいアル」
ここに世話になってからというもの、女が居てはまずいらしく男用の着物(袴)を着せられている神楽。普段は千鶴に着付けてもらっているが、その千鶴は炊事を手伝っているため、今ここにはいないのだった。
「これをこうして…。あれ違ったかな」
試行錯誤を繰り返し、自ら着物と戦っている神楽の様子はマヌケに等しかった。早く千鶴来ないかな。と神楽が思った時、調度ふすまを叩いた音がした。
「千鶴ー。一人じゃ無理アル…ってお前」
神楽は下着をきており上に着物(袴)を羽織ったまま振り向いたのだが、そこにいたのは千鶴ではなく神楽の新撰組での天敵の沖田総司であった。
「神楽ちゃんって朝から大胆なんだね」
「お前っ見たアルか。神楽様のグラマラスな身体を見たアルか」
「グラマラスっていう意味がわかんないんだけど。というより安心してよ誰もぺったんこな身体みて発情しないから」
「今にみてろよ。ボン、キュッ、ボンの美人に今すぐになってやるネ」
「ふーん。じゃあ楽しみにしてるよ。それより神楽ちゃん、その格好のままいるの」
総司は神楽を指さして言った。神楽は床にしゃがみ込み、あわわと慌てふためいていた。
「そういえば、神楽ちゃん着れないんだっけ」
「それが何アルか」
「僕が着せてあげようか」
「結構アル。千鶴がすぐ来るから、お前はとっととどっかに行けヨ」
「千鶴ちゃん、すぐ来ないと思うよ。さっき見にいったら、まだまだかかりそうだったし。神楽ちゃんもこのままじゃ困るでしょ」
神楽はうーんと頭をかかえて悩んだ。この男は自分に何をしでかすか分からない。もちろん、からかうという意味で。だけど、千鶴が戻ってくるのは、きっと後30分ほどかかるだろう。このままでは少し寒いし、仕方がないのかもしれない。と思い渋々首を縦にふったのだった。
「じゃあ、なるべく見ないようにするから前向いててくれる」
「うっうん」
前を向いた神楽の後ろから総司は抱きかかえるようにして丁寧に着せた。どきどきと何故か神楽の鼓動は早くなり、首にかかる息のせいで何を考えればいいのか訳の分からない神楽はなされるがまま突っ立ていた。総司の手つきは品やかで、顔が近い。ドキドキと高鳴る心臓の音が神楽を蝕んだ。
「はい。終わり」
はっ、と総司の言葉で我にに返った神楽はさっきのは気のせいだと自分に言い聞かせて、離れた。
「ありがとうネ」
「どういたしまして。そろそろご飯じゃない。早く行かないと神楽ちゃんの分なくなっちゃうよ」
神楽は、いつになく優しい沖田だな。と心の中で思い、総司の後を追って部屋を出た。だが、数分後いつもの総司のからかいであのドキドキや優しさは嘘だったんだと神楽はすぐに悟ったのだった。
2013.01/28
半年以上経ってしまいすみません。
「総司×神楽」という訳で、もう少し総司さんにSを加えたかったのですが、私の能力的に駄目でした。そのうち非夢混合の短編に一くん×神楽ちゃんも書いてみたいなと思います。
大変、遅れてすみませんでした。