kissの消毒
千秋様 兄神
▽モブ登場
「お見合いアルカ」
「本当は大切な神楽ちゃんをどこにもやりたくないんだけど、知り合いの子がどうしても神楽ちゃんとお見合いしたいって言って。その知り合いが厄介で嫁にはやらな…」
一週間前、珍しくパピーが急に地球へきた。と思ったら血相を変えて、お見合いしろというのだ。お見合いってなんだっけ。男と女が会ってゴールインについて話すやつだっけ。確か、テレビで見た時に美味しそうで豪華な食べ物が並んでいたっけ。アレ食べたいなぁ。
「って。人の話し聞いてんのっ。」
「きっ聞いてるアルよ」
パピーの話しなんか右から左に決まってる。豪華な料理。銀ちゃんが絶対に奢ってくれないような。
「仕方ないアルな」
「本当に。でも、別に話すだけで結婚とかの話しは絶対にしなくていいぞ。会うだけだから。会うだけ」
物凄い形相でパピーが言ってきた。結婚なんてまだ早い。し、結婚するとしたら好きな人としかしたくない。というのが願望だ。
パピーを追い払って、私は外へでた。だって泣き出すし、うるさいんだもの。そして、私はいつもの如くブラブラ歩いていた。そう、いつものように。ただ、先程のお見合いの話しは、会うだけでも決して兄ちゃんには話してはいけないということだ。
「あれ、嬢ちゃん」
そんなことを考えていると、誰かに声でもかけられた気がした。後ろを向くと見覚えのある顔。
「お前はっ。兄ちゃんの」
兄ちゃんの…何だっけ。下僕?召し使い?いや、部下だっけ?確か阿伏兎とか言う。
「そんな目でみねぇでくれよ。同族での殺しは好かない」
「お前がしっかり馬鹿兄貴をみてないせいで、事あるごとにうち(地球)に来るんだヨ。今日はいないよヨな」
そうなのだ。兄ちゃんは事あるごとに地球にきちゃあ私に引っ付いてくる。嫌な訳ではないのだが、恥ずかしいというか、なんとゆうか。
「残念だったな。嬢ちゃんが好きな団長は今日はいねぇよ」
「別に好きじゃないネ」「そういう割には随分寂しそうだが」
「き…気のせいアル」
「そういや、嬢ちゃん見合いするらしいな」
このおじさん、なんで知ってるんだろう。まだ、パピーに言われたばっかで承諾したのもさっきなのに。エスパーか。エスパーなのか。
「いや、そいつとちょっとした知り合いでな。で、団長には言ったのか」
私は首を大きく横に振った。そりゃそうだ。
「そうか。まぁ、せいぜい気をつけろ。相手の男、結構厄介だぞ」
そう言い残し、エスパーのおじさんは大きいエコバッグを持ちながら去っていった。一体、何だったのだろう。
そして、今日。そのお見合いとか言う日だ。いつもは絶対に着ないような少し綺麗な格好をさせられて、私とパピーは料亭にいた。
「やぁ。星海坊主くん。息子がどうしても神楽さんがいいって言ってきかなくてね。悪いねぇ」
やっと来たのはパピーよりちょっとおじさんの男だ。そして、後一人。銀ちゃんくらいの年齢の兄ちゃん程ではないが、整った顔の人が入ってきた。
「神楽ちゃんだよね」
ニコリと笑った男の顔はなんか気持ち悪い。食事がきてからもずっと私を上から下まで舐めるように見られている気がする。あれ、自意識過剰なのかな。
「後は、若い二人でゆっくりしなさい。星海坊主くん。違う部屋で飲まないか」
「そうですね」
えっ。パピーちょっと行かないでよ。この人と二人きりにはなりたくないのに。そんなことも言えず、パピーとおじさんはどっかへ行ってしまった。
気まずい空気が流れる。
「神楽ちゃんっ」
「きゃっ」
何、いきなり抱き着いてきた。気持ち悪い。あれ、離れない。普通なら、すぐ離せるのに。
「あぁ。可愛いね。昔から父繋がりで君のこと知ってたよ。地球住んでることも、酢こんぶが大好きで定春っていう大きい犬を買ってることも」
「離せ…ヨ」
「その目いいね。凄くそそる」
ゾクリとした時には既に遅し。首に強く吸い付かれた。やだ。やだ。誰か助けてよ。
「あれれ。君、何してるの」
「誰だよ。アンタ」
兄…ちゃん
「さぁ。それより神楽、返してくんない」
「嫌にきまっ」
その瞬間、男が倒れた。
「神楽、大丈夫だった」
「兄ちゃん、なんで」
「阿伏兎に聞いた」
成る程。聞くと男はエスパーのおじさんの知り合いで、良く神楽のことを話していたらしい。それが普通の内容ではなく、ストーカーに似た行為だったとか。だから、少し不安になったエスパーのおじさんが兄ちゃんに言ったそうだ。
「キスマーク付いてる」
「えっ」
首は赤いキスマークが付いていた。あの時のだ。そう思っていると兄ちゃんが私の首もとに顔を近づけた。
「なっ何するネ」
「消毒」
そして、私はこのあと一杯、兄ちゃんにキスをされるのであった。
2012.09/23
遅くなり、すみません。何だか、お見合い話を打ち壊すはずが、お見合いを打ち壊してしまいました。すみません。あっ。でも、時間があったら、リベンジでshortの方に書きたいと思ってます。兄神らぶらぶなお話ですか。頑張ります。どうしても、シリアスになりがちなので…。でも、らぶらぶな甘い兄神大好きなので。ぜひまた足を運んでください。