ゆめもと様 | ナノ

デザートは食事の前で
ゆめもと様 銀神

※3Z


たまにはゆっくりデートくらいしたいアル。


これは愛してやまない彼女からの申し出だった。付き合って3ヶ月。手を出してないのはもちろん、デートは一度もしたことない。

第一、俺と神楽が付き合っているなんて周りにバレたりでもしたら、俺は退職させられる。だから、学校での会話は最小限にしている。

そんなことが神楽には不満だったのか、一昨日の木曜日。補習と偽り呼び出した時、神楽が膨れっ面をしてそう言ったのだ。





「おじゃましますヨ」


「おー入れ入れ」




流石に外でデートなんて危険なマネは避けたかったので、休日である今日、神楽を家に呼んだ。俗に言うおうちデートと言うやつだ。

普段の制服とは全然違う私服。彼女の特徴である瓶底眼鏡はなく透き通るような碧い瞳と目が合い、柄にもなく緊張する。てか、彼女なんて部屋に入れたの初めてだよコノヤロー。





「銀ちゃん。これ」




そうやって神楽が差し出してきたのは、苺牛乳のパックと甘いお菓子類。何、この娘。いい娘過ぎる。銀さんの好物を知っててこんなに手土産持ってきてくれたの。




「ありがとな」




俺はそう言い、神楽を部屋へ促した。適当にテレビを付けて、生憎、ソファーがないため神楽をベッドの上に座らせた。俺は床に座りペラペラと読みかけのジ〇ンプを手に取った。俺はジ〇ンプを読みながら、神楽はテレビを見ながらたわいもない会話を永遠にしていた。




「ねぇ。銀ちゃん」



「何だぁ」




数時間たってから神楽が時計をチラチラ見ながら声をかけてきた。




「もう20時アル」




20時か。神楽がきて、そんな時間が経ったのか…じゃなくて。
頬から嫌な汗が伝う。




「20時っ。ちょっ神楽ちゃんっ。帰んなくていいの。ほら、ハゲじゃなくて神楽ちゃんのお義父さん心配してるよ」



「大丈夫アル。今日は友達の家に泊まるって言ってきたから。それより、銀ちゃんの家、泊まっていいアルか」


それなら大丈夫か。ではなくっ。





「えっ。どういうことですかコノヤロー」


「そのままの意味アルよ」





満面の笑みで応える神楽。泊まるのは嬉しいが、危ないだろう。だって、こんな狭い家じゃ夜、寝るのだって近くで寝るだろう。それに風呂上がりとか。






「あのね、神楽ちゃん。いくらなんでも銀さんのバベルの塔が我慢出来なくなるかもしれないんだよ。むしろ、爆発しちゃうかもだよ」


「何言ってるアルか。キモいアル。勝手に爆発してろ」




うわっ。冷たい目で見てきた。





「だから、俺がいろいろ危ないんだよ」





俺はため息をつきながら、頭をかいた。いくら何でも泊まるのは危ない。今まで、神楽には指一本触れてない。手を繋いだり、頭を撫でたりはしたが。





「だから、帰れ。家まで送ってやるよ」


「嫌アル。今日くらい銀ちゃんと一緒に居たいアル」


「あのなぁー」


「私、子供だから銀ちゃんに相手にされないアルか。クラスの子、言ってたネ。大人と子供じゃ違うって。銀ちゃん、私にキスもしてくれないネ。それは、私が子供だからで...」





神楽がひっくと涙を浮かべながら泣いている。あー、俺はコイツに弱いのを何で知らないんだろう。俺も男だ。キスの一つや二つはしたい。だけど、簡単には手を出したくはないのだ。





「分かった。分かったから泣くな。こっち来い」





俺は自分の膝の上に神楽をのせた。神楽の瞳は少し赤くなっている。




「あのなー。俺が今までどんなに我慢してたか分かる。やっぱ、銀さん大人だから余裕見せたい訳よ。」


「そんなの知らないアル。銀ちゃんの勝手ネ」





今だに怒っている様子の彼女。これは、帰る気がないらしい。仕方がない。今日一日、理性を保つんだ俺。





「じゃあ、もう泊まってけ。」


「本当アルかっ」


「勝手にしろ」


「キャッホーーー」


「で、どうすんだ。夕飯にするか。それとも風呂入るか」



そう言うと、んーと悩んでからパッと神楽が顔をあげた。



「銀ちゃんにするアル」

「はっ」

「だから、銀ちゃんにするって言ってるダロ」




幻聴だろうか。それとも聞き間違えだろうか。そんなことより、神楽の碧い瞳をずっと見ていたらいつの間にか出さないと誓っていた手を出してしまっていたのだった。






2012.08/18


お待たせいたしました。

設定は書いていらっしゃらなかったのでこちら側で3Zで書かせて頂きました。
ほのぼのでラブラブのことでしたが、ほのぼのというより銀さんの苦悩というか何というかな形になってしまいました...。本当に申し訳ないです。

私も銀神好きです。銀さんは神楽ちゃんにふりまわされればいいのにと思ってしまう。

応援のコメントありがとうございました。あと、小説全部好きとか嬉し過ぎました。もーなんと言っていいか。ぜひ、また足を運んでやって下さい。



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