月明かりが照る晩。高杉率いる鬼兵隊の宇宙船に侵入者がこっそり入り、月を眺めていた。
「何だ。来てたのか、じゃじゃ馬姫」
「じゃじゃ馬姫じゃないアル。神楽だっていつも言ってるダロ」
「そういやそうだったな」
少女、神楽の侵入はこれが一度ではない。もう何十回もここに侵入している。
「銀時はどうしたぁ」
「銀ちゃんは今日も出かけたアル。どうせ、飲みに行ったアルよ」
神楽は銀時が夜いない時だけ、こっそり家を出て、高杉の所へきている。
「今日は満月アルな」
神楽は月を眺めながら言った。高杉もそれにつられ、月を見た。少しだけ雲がかかっているものの、月が怪しい雰囲気をかもち出していた。
「ククッ。満月たぁ上等だ。おい、神楽。酌をしてくれ」
高杉はどこからか持ち出した一升瓶をどんと置き、その場に座った。
「どいつもこいつも酒が好きだな」
「うるせぇ。黙ってこっち来い」
神楽は高杉の隣に行き、よいしょと座り。一升瓶を両手で持った。それを確認し、高杉はとっくりを左手で持ち、酒が注がれるのを待った。
「慣れた手つきだな」
「何回お前のためにこれやってると思ってるネ」
「俺のためたぁ、ありがてぇな」
「感謝するヨロシ」
「あぁ。にしても、満月を見ながらの酒はうめぇな」
満月が二人を照らす。そのシルエットはほんの少しだけ寄り添うようになっていた。
2012.08/18
今宵、満月に照らされながら