煙草の臭いは苦手だ。嗅ぐだけで気持ち悪くなるし、鼻をなんとなく抑えたくなる。
「ニコチン中毒が」
「はぁ?」
今、私の隣に座っているのはつい先日(と言っても2ヶ月前)から付き合っているトッシーだ。今日は久しぶりのデート。
一応、言っとくが付き合ってるからといって、やましいことはもちろん一度もしていない。しいていうなら手を繋ぐ程度。
というのはどうでもいいだろう。付き合うまでは良かった。トッシーは優しいし、給料もまぁまぁ高い。なんせ付き合うとしたらうってつけの男だからだ。極度のマヨラーを除けばたが。
彼はマヨネーズをこよなく愛している。それは許そう。私も酢こんぶをこよなく愛しているから。
だから、一日のマヨネーズ摂取量は多い。それと同じくらい、煙草の摂取量も多い。
そう問題は煙草なのだ。
「また煙草かヨ」
「落ち着くんだよ」
はい。ニコチン中毒決定。
あまり気にしていなかったが、トッシーが私の近くで煙草を吸うことによって私の服まで煙草臭くなる。
ついでに言うと食べている時に吸わないで欲しい。美味しいはずの団子の味がおちる。
「くさい」
「仕方ねぇだろ」
「こんな可愛い彼女の前で煙草を吸うなヨ」
「自分で言うなよ」
そして、また煙草を吸った。あぁ、禁煙をして欲しいものだ。
「吸うか」
「未成年に何渡してるネ。ポリ公が」
「安心しろ。吸うっつても渡さねぇよ」
「ふーん」
私はふくれっ面をつくってみた。せっかく久しぶりに二人きりでいるのに。
そろそろお腹がいっぱいだ。私は椅子からたった。立つまでは良かったのだが何故か足がもつれた。
ヤバい。こける。
と思い咄嗟に目をつむった。
「おい。何やってんだよ。大丈夫か」
「へ…」
気づいたらトッシーの腕の中にいた。
「ったく。急に転びやがって」
「ごめん」
あまりに近いから、胸が凄いドキドキいってる。
私はトッシーの服に顔を埋めてみた。
やっぱり煙草の臭いがした。臭いが、なんとなく心が落ち着くような安心するような気がしたことに、私は心の中でそっと笑った。
2012.08/01
大人の香り