※3Z
私は今とても退屈だ。
せっかくの夏休みなのになぜか学校がある。普通なら行かなくても別に大丈夫なのだが、私の場合は違った。
一学期のテストで赤点を3教科とってしまた。今まで、ギリギリで何とか赤点を回避したり、進級が危うくなった時は先生に媚びうって真面目な生徒をやっていたのだが、今回ばかりは上手くいかないようだ。
先週、銀ちゃんに呼び出しをくらった。そして、夏休みの補習に必ず出るように無理やり約束させられた。銀ちゃんのくせに生意気だ。
「あー、暑いアル」
「それなら脱がしてやろうか」
「あぁ」
不愉快な声がした。
そう、私の隣の席から。
「何で、お前が居るアルか」
「いちゃ悪いかよ」
「サド…お前、補習対象者じゃないだロ!!」
サドはドが付くSのくせに、顔とスポーツと頭だけはいい。性格はかなり最悪だが。
そう、頭はいい。だから、夏休みにわざわざ補習を受けにくる必要がない。
「あぁ。もちろんだろィ」
「じゃあ、何でいるんだヨ!!」
「俺がいたら困ることでもあるんですかィ」
「困るも何も目障りアル」
ついでに言うと、耳障りだ。というより存在が迷惑だ。ただでさえでも暑いのにコイツがいるってことでさらにイライラして暑さが倍増する。
そんな事を考えながら言い合いをしていたら、銀ちゃんに怒られた。ちくしょー、私のせいじゃないのに。
「お前のせいアル」
「知らねぇー」
「うるさい。静かにしてくれない。」
私はシャーペンを握って目の前のプリントに向かった。だが、分からないものは分かるはずがない。
汗がたらりと落ちる。
「チャイナー。そんな問題も分かんねぇのかィ。だっせぇ」
「本当に迷惑アル。近づくなヨ!!」
「んなこと言っていいんだー。答え教えてやろうと思ったのに。チャイナは一人でその問題を解けるんだぁ」
「うっ」
答え…だと。激しく見たい。てか、知りたい。銀ちゃん、プリント最後まで解けるまで帰らせないって言ってたし、このままだと帰れない。
「見せて欲しいアル」
「ただで見せろとは言わねーよなァ。」
人が下手に出てやったら、ごっさムカつく顔しやがって…イラつく。
「何がしたいアルか」
「じゃあ」
サドはそう言うと机をくっつけてきた。
「このままでいろィ」
「はぁ」
机をくっつけたままサドに答え教えてもらった。正直、暑苦しかった。しかし、目障りだった彼の手があまりにも男らしかったせいか、耳障りに聞こえていた彼の声が耳元であまりにも近くで聞こえたせいか、否か。私の心臓は不覚にも速く全身に血を廻らせていた。
2012.07/26
目障りと耳障り