チュ、
薄暗い部屋の中にリップの音が小さく響く。こんなの大人の真似ごとだ。このくらいなら理性くらいたもてる。
「チャイナ、これで満足か」
「うん。これでもう子供なんて銀ちゃん達に言わせないネ」
「たかがキスだけだろィ」
「でも、舌が絡まってきて気持ち悪いようなキスだったアルヨ」
「そんなもんだろ」
そうアルか。と首を傾げながら少し乱れた衣服を直すアルアル娘。コイツはキスをすれば大人になれるとでも思ったのだろうか。俺にキスしろと頼んできやがった。ガキのくせに。まぁ、これも惚れた弱みだ。こんな機会そうそうにないんでもちろん承諾をした。
「でも、良かったんかィ。旦那じゃなくて」
「銀ちゃんなんかに絶対、ファーストキスを奪われたくないネ。ありえないアル」
「俺は良かったんかよ」
そういうとチャイナは胡座をかいて悩むようにう゛ーんと唸った。
「お前のことは大嫌いだけど、別に平気アルよ」
「それはどーも」喜んでいいのか悲しめばいいのかよく分かんない回答が返ってきた。キスをすれば大人になれるだなんて。ましてや、好きでもない奴となんて楽天的な脳みそだ。俺の気持ちなんて知らないくせに。第一、こんなことで大人になれたら世の中に大人なんてもっといるだろ。
「じゃあ、大人になった神楽様はこれから遊びに行ってくるアル」
「遊びに行くなんて結局、子供じゃねぇか」
「違うアル。もう大人ネ」
「知ってるか、チャイナ。大人になる為にはこれよりもっと凄いことしねぇとならなんでィ。手伝ってやるから今からやるか」
俺がそう言い放つとチャイナは瞳を輝かせて興味津々にコクリと頷いた。
2013.02/10
純粋なキミにイタズラ