ねぇ。知ってる神楽。
俺はお前のことが妹としてでなく、夜兎として、大好きなんだ。俗に言う一人の人間としてってやつ。


こんなこっといったらお前はなんていうのかな。多分、目を大きく見開くだろう。


きっと、お前は今の兄妹という関係がいいのだろう。でも、それじゃあ俺はどうすればいいのだろう。




「おいっ、兄ちゃん」


「ん、何」


「何じゃないアル。さっきからずっと呼んでいたアル。それなのに、ずっと違う方向見て上の空だったアルよ」


「あはは。ごめんごめん」



はっと気づいて神楽を見てみると、俺の膝の上にちょこんと座って、少しだけ頬を膨らましながら俺を見ていた。そんな姿が、可愛くて愛おしい。



「あのね、銀ちゃんが今日飲みに行くから、久しぶりの兄妹水入らずなんだからゆっくりしてけって」


「じゃあ、お侍さんに甘えてゆっくりしていこうかな」



そう言って、神楽の髪を撫でると少し笑って神楽は視線をもとみていたテレビへと向けた。


テレビはドロドロの昼ドラの真っ最中。どうやらA子はC男のことが好きらしいが、二人は姉弟の関係のようだ。C弟はどうやらA子のことを姉としてしか見ていないらしい。立場は違えど状況は似ている、俺がA子で神楽がC男。人間達が見ているこんなドラマに感情移入とかしたくはないが、そう思う。



「ねぇ、神楽。この二人は最後どうなると思う?」


「A子とC男は結婚するネ」


「なんで?」


「だって、本当はC男もA子のことが好きアルよ。愛しあう二人が結婚するのが当然ダロ」



馬鹿だな。神楽は。人間は姉弟とかだと結婚出来ないのに。せいぜい事実婚か隠して付き合うくらいだろう。まぁドラマだけど。



「じゃあ、C男もA子のこと好きなんだ」

「そうアルよ」


「じゃあさ」









神楽は俺のことどう思う。


俺は神楽を愛してるんだよ。







2013.02/02



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