03
父親との電話から一週間。
何の話もしないまま私はさらしを胸に巻き、制服(学ラン)を着た。髪はワックスで整えた。
髪型は隣人の銀ちゃんと相談した。銀ちゃんも銀魂高校らしく私が男子として編入するって初めて話した時、怖い顔をして"やめろ"と言ってきた。
やめられるのならとっくにやめている。
とうとう今日から学校が始まってしまう。今、私は銀魂高校の校長室にいる。
そして、
目の前に居るのは
「アンタ本当に男かい?」
校長先生なのだが、早速疑われている。
「おっおう。俺は男アル。
バベルの塔だってあるネ」
そんなもの何てない。
「それにしてもアンタ、
男の割にやけに声高いし、
身長も低いね」
このばばぁ鋭い。
「でも、親父に俺が息子だって聞いてんだロ」
「まぁね」
ばばぁはそう言い、タバコを吸った。
校長室って喫煙だっけ?
「はぁ」
とばばぁがため息をつき、沈黙が流れる。私が思うに絶対に女だってバレている。
ばばぁが鋭い目つきで見てきたから、睨んでみた。
「アンタが男なのは分かったよ。その変わり自分の身は自分で守りな」
「分かってるネ」
私の答えを聞くとばばぁは校長室の扉に向かって叫んだ。
「こんどぉー出て着なぁ!アンタのクラスの生徒だよ」
そう呼ばれ出てきたのはいかにめ体育会系のゴリ…じゃなく先生だった。
「近藤、今日からお前のクラスに入る子だよ」
「おぉ、そうかっ!」
ゴリ先生は笑いながら手を握ってきた。
正直気持ち悪い。
「じゃあ、神楽くん教室に行こうか」
"神楽くん"と呼ばれたのに、少しどきっとした。
そして、半ば強引にゴリ先生に連れられ3-Zと書かれてある教室に着いた。
ゴリ先生に少し廊下にいて、と言われ仕方なく待つことにした。校舎を見渡すと窓ガラスにひびが入っている。
教室の中から男共の声が聞こえる。
「じゃあ、神楽くん入ってきて」
息なりドアからひょこっとゴリ先生が顔を出した。
「あぁ、男かよ」
「てか、担任ゴリラかよ」
中から様々な声が聞こえる中、私は教室に入った。銀ちゃんと同じクラスになれるのを祈って…。
ゴリ先生に促され、教壇の上にたった。
「じゃあ、自己紹介よろしく」
私が教壇たったら周りが静まった。
「わ…俺、神楽アル。
ある事情でムリヤリここに連れてこられたネ。まぁよろしく」
私が言い終わると周りがざわついた。
いい気分はしない。
だけど、自己紹介の時に銀ちゃんを見つけられたから良かった。
違うクラスだったらどうしようかと思った。
「静かに。神楽くんの席は…
おっ、総悟の隣空いているな」
ゴリ先生が指差したのは机に突っ伏して寝ている総悟と呼ばれる栗色の髪をした男子生徒の隣の席だ。生憎、銀ちゃんとは席が離れている。
「じゃあ俺はお妙さんとこ行ってきまーす」
ゴリ先生はそう言うと、颯爽と教室をゴリラとは思えない速さで出ていた。
私は仕方なく、先程ゴリ先生に言われた席に鞄を持って座った。
「お前、女みてぇな顔してるけど誰ですかィ。」
急に声をかけられた。
驚いて見てみると、隣の総悟と呼ばれていた男子生徒がじっと私を睨んだように見ている。
「女じゃなくて、男アル。
今日からココにきた、神楽アル。よろしくナ」
私は少しだけ低い声で睨み返しながら言った。
「…エセチャイナか」
「エセって何だヨ!それに人がよろしく言っとるだろーがァ!」
私は少しムカついて、胸ぐらをつかもうと立ち上がった。そしたら、私の斜め前コイツ(隣のヤロー)の前の席の奴が後ろを向いた。
「まぁ、落ち着け総悟も転校生も…」
私はその彼を見た。
「ったく」
「うるせー土方コノヤロー死ね」
「お前が死ね総悟っ!」
マっマヨっ!?
「おい、そこ静かにしたまえ!」
私がマヨに気をとられていると、ずかずかと前の方から学級委員と思われる長髪の男子生徒が歩いてきた。
「むっ。転校生と沖田と土方達ではないか」
「桂ァてめぇこの間、合同委員会サボっただろ」
「なっ何のことだ?土方君?」
「とぼけんじゃねぇ」
「それより、転校生よろしくな。」
ヅラっ!?
私は目を疑った。
「んっそういやぁ。お前どこかで会ったことあるか?」
「おぉ!?貴様、珍しく気が合うな。実は俺もそう思ったのところだ」
そう言い、マヨとヅラは私をじっと見てきた。
「えっとー」
もしかしたら…
早速、ピンチかもしれない・・・
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