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携帯電話を片手に部屋の中に散らかっている段ボールやガムテープを見ると、片付ける気もなくなってくる。
ただでさえでも、今、私は怒りと悩みで頭がパンクしそうなのだ。

此処に来て早1週間を過ぎていた。
学校の終業式が終わって間もなく、私は引っ越しをした。
前、住んでいた場所から比べたら凄い都会だ。

理由は単純。
一緒に住んでいた馬鹿兄が家を出るためだった。私ひとりを家に置いとくのは不安と、馬鹿兄と海外出張で家にいないはずの父親が相談して勝手に決めたらしい。

しかし、此処には一緒にきた馬鹿兄がいない。私を連れてきたくせに馬鹿兄は寮生活をするらしい。私は結局一人暮らしをするはめになったのだ。

本当にいい迷惑だ。
堪忍袋の緒がきれそうになった。

そのため、このボロアパートに私は一人で暮らすはめになった。まぁ、たまに馬鹿兄が来ては泊まっているが。


だけど、幸いなことに私の隣人は中学卒業で引っ越した幼なじみだった。
きっと、馬鹿兄と父はそのことを知っていて、このオンボロアパートを借りたのだろう。



そして、問題は起こった。
「パピーっ!!どういうことアルカ!」


私は携帯電話を片手に海外にいる父親に国際電話をかけていた。

『神楽ちゃん?もしもし、どうした』

「どうしたもこうしたもないネ。何で転校先の高校、共学なのに私の家に学ランが届いているアルカっ!」

そうなのであった。
先程、私の家に宅配便が届いていた。宛て先は父親から。あけてみると、転入の手続きの書類と体育着、学ラン…さらにはベルトに何故かご丁寧にさらしまで入ってたのだ。

『あぁー、実は神楽ちゃんの転入先の高校がなかなか見つからなくてね捜したんだよ。そしたら、知り合いが理事長兼校長をしていたから頼んでみたら女子枠がいっぱいで男ならって言うからついね。』

「嘘つけっ!この学校の資料見たら女より男の方が圧倒的に多いネ!女子枠あるだロっ」

『実は元男子高で女子の人数はかなり少ないらしいんだ。しかも、女子と男子はクラスが違っていて…』

「じゃあ、なおさらネっ!」

『そうなんだけどね、神楽ちゃんの学年の女子クラスが調度30人ぴったりで、それ以上はちょっとって、変わりに男子は99人一人たりなくてそっちならいいって言われたから、神楽ちゃんのこと男の子ですって言ったら受け入れてくれて、本当は迷ったんだよ。だけど、どこも断られて、そこなら編入試験受けなくてもいいし…』

ありえない。
私にはこの5文字しか浮かばない。
普通、実の娘を男の子だと言うだろうか。いや、言わないだろう。

言い訳など聞こえない。
頭が痛くなってくる。

「もういいアルっ!バイト行かなくちゃだからっ」


私はイライラしながら通話ボタンを押した。耳から携帯を離すとき何か叫んだのが聞こえたけど、気にしない。



私は飽きれながらバックを持って、家を出た。



あぁ、
これから本当どうしようー






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