gift | ナノ

 きみがすき

「ねーシズちゃん、俺喉乾いたなぁ」
「あん?」
「のど、からっから。ねぇ、脱水で死んじゃいそう。」
「…………ん。」
「ー……はは、やーさしー。」


「シズちゃんシズちゃん、チョコいる?」
「……くれんの?」
「食べかけでもいいなら。俺、一枚全部は食べられないからさ。ね、食べてくれる?」
「……もらう…。」
「ん、どーぞ。」
「…………あ、」
「ん? なぁに?」
「お前、ついてんぞ、チョコ」
「えー? どこ?」
「唇の右ー…あーちげぇよ、ここ。」
「っ、! ぁ」
「で、ティッシュどこあんだ?」
「ー……え」
「このままどっか触ったらキレんだろ。あー、いやいい。洗ってくるわ。」
「ー……あ、う、うん、ありがと……」
「おー。こっちこそチョコサンキューな」



「ねぇ波江さん、ちょっといい?」
「嫌。」
「シズちゃんにキスさせたいんだけど、どうしたらいいと思う?」
「毒林檎でも食べればいいんじゃない?」
「ー……作れる?」
「わたし宛の遺言状を書いてくれるなら、やってやらないこともないわよ。」
「オーケー。ならついでに小人役も頼むよ。アイツ演技への嗅覚も異常だから気をつけてね。」





「と、いうわけなんだけど、キスしてやってくれる?」
「ー…………それ、俺聞いてよかったんすか?」
「同情で協力して死にたくないもの。義理立てする義理もないし。」
「さすがにアンタみたいな普通の女に手ェあげたりしねーよ。」
「何言ってるの、貴方みたいな普通の人間に怯えるわけがないでしょう。」
「は?」
「……飼い主なら、自分が飼ってるのがなにかくらい把握しておきなさいよ。」




「真に受けて自殺でもされたら、あの化け物に何されるかわからないじゃない。」




end



prev|next

back

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -