惨死ラバー | ナノ
■危ない調理実習/会川×栗鼠
08月07日 18:28


「栗鼠っ!次の時間調理実習だぜっ」

いつの間にかオレの席の前に立ってた会川が大きな声でオレに話しかける。

「いきなりデケェ声出すなよ。ったく、飯食える時だけテンション高くなりやがって…さっきの授業寝てたくせによ」
「んなこといいんだよ、早く家庭科室行こうぜ」
「というか、まずなんで魔法訓練に調理実習が必要なんだよ」
「自炊出来なきゃ、生活出来ないってことじゃネ?そんな細かいことはいいんだよ。それより、タダ飯だ、タダ飯!早く行こうぜ。置いてくぞ」
「……わかった、わかった(お前はいつもタダ飯みたいなもんだろ)」
オレは席から立ち上がり、すでに家庭科室に向かって歩き出した会川の背中を追った。
会川と歩幅を合わせ、隣りに並ぼうとした時、会川がこちらを振り返った。
「そうだ、オレいいもん持って来たんだよ」
「?」
そして意味深な言葉を残した。





家庭科室

「それでは皆さん今日は親子丼を作りましょう」

みんなタダ飯(材料は学校で負担らしい)にありつけるということでクラスのやつらは大々参加しているようだった。

「各自、ペアを組んでください」
先公の呼び掛けでそれぞれペアを組みだす。

「会川くん、一緒にやろうよ」
「会川、一緒にやろうぜ」
会川は人気者らしく色んなやつに声かけられてる。
(ま、オレは十字目だし、好き好んで仲良くなりたいやつなんていねーよな…)
「わりぃ、オレ栗鼠と作るから」
(へ…?会川のやつ…今なんて…?)
会川がこっちに近づいてくる。

「栗鼠っ!一緒に作ろうぜ!」
「あ、会川!?いいのかよ、色んなやつに誘われてんじゃん」
「あ?まぁいんじゃネ?早速作ろうぜ」
「おう!」
(なんか嬉しいなァ)

こうして調理実習が始まった。

「会川、野菜切っててくれ。肉はオレ切るから」
「おう、任せとけ」
会川は淡々と玉ねぎを切ってる。
(会川のやつ意外と料理出来んだな…もう椎茸に取り掛かってるみたいだし…)
「終わったぜ、栗鼠。」
「おっ、ありがと…って、なんでみじん切りにしちゃうんだよぉ!!」
「あ?これじゃ駄目か?」
「……いや、もういい。(玉ねぎは百歩譲って良いとして、なんで椎茸までみじん切り…)わかんないことあったらオレに聞くようにしてくれ…」
「んー…了解。オレが持って来たやつ入れてみようぜ」
「何持って来たんだよ?」
「エビ♪」
「エビか…まぁ入れてみっか(なんかもうどうでもいいし)」

こうして親子丼が完成した。

「それじゃ皆さん各自出来上がったものを食べてくださーい」

先公の呼び掛けでみんなが一斉に「いただきます」と声をあげて食べ始める。
会川だけは出来上がったその瞬間に食べ始めてたが。

(とりあえず、オレも食ってみるか…)
パクっ…
(う、うめぇ!意外とエビがいいダシ出したんじゃ…流石、会川…グルメなだけあるぜ…)
会川を横目でみやると、親子丼にがっついてる。
(会川も美味しいと思ってるみたいだ…良かった…)

すると、オレたちの目の前に一人の生徒が近づいて来た。

「り、栗鼠くんたちの親子丼美味しそうだね…」
「お、あっ、(やばっ、名前わかんね…)」
「一口貰っていい、か、な?」
「…いいぜ」
(会川以外のやつに話しかけられるなんて…)
「駄目だ」
「あ、会川!?」
「え、あ、ごめん…」
会川に断られ、気まずくなったのか、オレに話しかけてきてくれたやつは他のところへ行ってしまった。
「おい!会川!ひとくちくらいやったっていいだろ?しかもお前のじゃなくてオレの親子丼なんだし」
「それが駄目なんだよ。間接キスになるだろーが」
「なっ…!」
(ハァ!?こいつ何言ってんだ…!)
「あ、会川」
「くそっ、また頭痛だ…オレは早退するぜ…」
「待てよ!会川!」
会川は家庭科室の窓から飛び降りて行ってしまった。

(くそっ…どういう意味で言ったか詳しく聞きたかったのに…てか、オレ一人で片付けかよ…)

モヤモヤした気持ちのまま、オレは食べ終わり、片付けを始めようと自分のどんぶりと会川のどんぶりを持った。
会川のどんぶりは綺麗に完食されていて、なんだか嬉しかった。
それと同時に自分の鼓動が早くなったのに気づく。

(オレ…どうしちまったんだろ…)


栗鼠が会川に恋に落ちるまであと少し。




――――――――――

甘酸っぱい青春をイメージして。

会川の方が先に栗鼠を好きになって
でも、栗鼠は鈍チンだといいな、って妄想。



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