戸惑い


両手に一杯の書簡をせっせと運ぶ奈々詩を馬岱は廊下で見つけたので彼女に近づく。

「奈々詩殿。大変そうだね、手伝うよ」

「あ、馬岱殿…」

奈々詩は馬岱が苦手だった。
誰にでも分け隔てなく接する彼の様が苦手なのか。
それとも人付き合いが苦手な自分の所為なのか。
明確なことはよく分からない。
とにかく馬岱といると変な気持ちになることには変わりない。

「お気遣い有り難うございます。でも大丈夫です」

そう言うと奈々詩は馬岱を避けようとするが
沢山の書簡を両手で持ってるので前がよく見えないのか足取りがふらふらしていた。

「遠慮しなくていいって!俺が勝手に手伝いたいだけだから」

ひょいと馬岱は奈々詩から書簡を取ると、いきなり手元が少し軽くなったことに驚いて書簡を軽々持つ彼を見上げた。

「奈々詩殿ってさ、俺のこと避けてる?君に避けられるのは特に悲しいよ」

「避けてるわけではないんですよ。
その、正直申しますと、貴方といると自分が自分で無くなるといいますか。
なんだか胸がぎゅーってなるんです」

そう言うとさっきまで合っていた目を反らしながら奈々詩はゆっくり歩き出した。
馬岱も奈々詩に続いて歩き出す。
彼女の様子を見ると、自分といるのが嫌というわけじゃなく
顔をほんのり赤くして戸惑っているようだ。




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