伝わる温もり


諸葛亮に呼び出された奈々詩は彼の元へと中庭がある廊下を歩く。
笑い声が聞こえるのでチラリと視線を向けると馬岱がいた。
親しい新兵とともに鍛練をし終えたのか、肩を組んで笑いあっていた。
そんな光景に頬が緩んだが、ふと思う。
そう言えば、彼から触れてきたことが一度でもあっただろうか。
付き合ってからいくらか経つ。
触れようとする素振りは見せるが、彼は躊躇って、やがて止めてしまう。
思い出すとなんだかモヤモヤした気持ちになりそそくさと通りすぎた。
奈々詩の視線に気づいた馬岱が、そちらを向くともう彼女は曲がり角を曲がって見えなくなってしまった。

「馬岱殿?」

「ん?あぁ!もう片付けだったよね!」

ごめんごめんと言いながら馬岱は新兵と片付けを始めた。



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