百面相


夫婦になったら一緒にいる時間が長いのだと
そう思っていた司馬懿は不機嫌な顔をしながら廊下を歩く。
すれ違う人間に同じ事を訪ねてみても皆、首を傾げるだけ。
司馬懿の痺れがそろそろ切れそうなときだった。
何やら視線を感じ、そちらを振り向く。
その人物は曲がり角に隠れているつもりなのだろうが肩が少し見えていた。
司馬懿は先ほどから自分がすれ違った人間に聞いて回っていた事が
今解決出来そうなので片方の口元がつり上がり、隠れている人物に近づく。

「いつまでそうしている」

そう言うとその人物は直ぐ様逃げだす。

「あ、待て!」

声をかけなければよかったと、歩み寄っていた司馬懿も走り出す。
自分が追っている人物は女性なので容易に追いついた。
肩を掴み、こちらを向かせたが彼女は両手で顔を覆っている。

「何故顔を隠す。そんなにも私を避けたいか」

「あっ、いえ、違うんです…!」

彼女は意を決して手を顔から離し、彼女―奈々詩は司馬懿の目を見た。
だが直ぐ目を反らすので司馬懿は面白くなかった。

「…私が嫌いになったのか?」

「ごめんなさい…っ!」

彼女の口から否定の言葉が出てきた。
信じられないという風に目を見開き、奈々詩の肩を掴んでいた手が自然と力が抜けて、ぶらりと宙に漂う。




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