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俺の好きな場所。

自室。サッカーのフィールド。おひさま園。


それから、珠音の隣。








「ねぇ、ネッパー。死んだ後の世界ってどんなところだと思う?」


珠音はよく、俺に死後の世界の話をした。
俺にとってはどうでもいいような、眠くなるような話だった。
それでも俺は、真剣過ぎるほど真剣に珠音の話を聞いていた。
可笑しいと思うだろう。興味なんて欠片もないような話を真面目に聞いてたんだ。
俺にだって分からない。
でも、最近になって気づいた。
俺が珠音の話を真面目に聞いてたのはきっと、
死後の話をする珠音がいつも、笑顔の裏に泣き出しそうな表情を隠していたからなんだと。
それと同時に、気付いたことがもう一つ。
珠音がこんなやつだから、すぐ隣で護ってやりたくなるってこと。


「ネッパーは、死んだらどこに行きたい?」
「…さぁ、考えたこともねぇよ」
「なんだ、つまんないの」
「お前は、どこに行きたいんだよ」
「あたしは天国ってところに行きたい」


珠音は迷うことなくそう答えた。所謂、即答ってやつ。


「なんで?」
「天国にはお花畑があるんだって。そのお花畑ってね、きらきらしててすっごく綺麗なんだってお父様が言ってた。そんな綺麗なところなら行ってみたくなるでしょ?」


ふわりと柔らかな笑みを浮かべて珠音はそう言った。
続けて、バーン様には笑われたけどねと苦笑した。
珠音らしい、と。
言葉を繋げようとしたがそれは憚られた。
死後の話をする珠音が、初めて心から笑った気がしたから。


「…やっと、笑った」
「え?」


無意識のうちに漏れ出した言葉に珠音がきょとりと俺を見つめる。
何でもないと誤魔化せば、珠音は更に疑問符を浮べた。





その数日後、俺と珠音はお父様に天国とは真逆の地獄という荒れ果てた死後の世界があると聞いた。
珠音の笑顔が翳った。そんな恐ろしい世界もあるのかと、珠音は不安げな表情を見せた。
俺の部屋のベッドの上、自分の膝を抱いて地獄について考えているのであろう珠音。
俺はそんな珠音にお前なら死んでも天国に行けるだろ、と言葉をかけて抱きしめた。




もしも、
(本当に天国と地獄が存在するのなら)
(俺は珠音の傍に居られなくていい。地獄でいいから)
(だから、珠音は天国に行ってくれ)



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久々の更新かと思えば・・・ここにきてやってしまった・・・、ネッパああああッ!!!!
でも口調は迷宮入り←
ていうかこれ分類は切で良かったのだろうか。別に、実はまだ切を理解しきれないとかそんなんじゃないんだかr(((





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