違う星の人間を愛して
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「…あっれれ、何で居るのかなぁ?」

「お前が好きだから」

「不法侵入で訴えるよ。それに私は、宇宙人に興味は無いって言ってるでしょ」

私の家で堂々とくつろぐ不法侵入常習犯の自称宇宙人、ゼル。
エイリア学園のイプシロンというサッカーチームに所属しているらしいが
あいにく、私はサッカーに興味はない。
因みに、毎度毎度不法侵入しているゼルにも興味はない。
……と言えば嘘になるが。

「……お前さぁ、全然違う生き物同士が恋愛するのってどう思う?」

ソファに寝転び天井を見上げつつ、自然な流れだと思わせながらも話を逸らすゼル。
…何が言いたいんだろうか。

「何ソレ、?」

「いいから答えろよ」

天井を見上げたまま目も合わせない相手を見つめながら質問の意図を
探っていたが結局は何も理解できず、時間が過ぎていっただけだった。

「…別に、いいんじゃないの?」

無意識のうちに眉間に皺を寄せながらそう答えると
ゼルはゆっくりと視線をあたしに向けた。

「……だったらさぁ」

首を傾げつつ相手を見つめ返せば、ゼルは一瞬だけ寂しそうな笑みを見せた。

「違う星の人間同士の恋愛も、アリなんじゃねぇの?」

予想外の言葉に驚き何も言えずにいると
ゼルは今まで寝転んでいたソファから起き上がり、私の前まで歩いてきた。

「…俺は、アリだと思うぜ」

気がつけば、私の身体はゼルの腕の中にあって。
状況の理解が遅れる程、私の脳内には彼の言葉が響いていて。
あまりにも突然だったせいか、私は何も言い返すことが出来なかった。


「…ゼ、ル」


頭で何かを考える前に、私は彼の名を呼んでいた。
ゼルは私の声を聞いて少し腕の力を緩める。


「…同じ星の人間だったなら、こんなに苦しくなかったかな」


私が何も考えずに発した言葉を彼がどう受け取ったのかは分からない。
唯一つ分かるのは、これ以上自分を騙すことは出来ないこと。

「…あぁ、そうかもな」

ゼルは私の頬を伝う涙を拭いながら切なげな声でそう言った。
そしてゼルは、私を惑わせるような言葉を発したその口で
私の額に小さくキスを落とした。





(不安を掻き消すように)
(壊れてしまいそうなくらい、君を抱き締めた)








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