予定外の告白 ---------
「あっ、咲山…私の家ここだから、」
「あぁ、此処か」
見知らぬ街で迷子になって約1時間。 いろんな場所を歩きまわったあげく、やっとのことで自分の家に戻ってきた。 ……今更ながらどこまで走ったのか。そしてどれほど歩いたのやら。
咲山に家まで送ってもらったのはまぁいいんですが… ……見知らぬ街の路地裏からずっと手を繋いだままなのは何故ですか…! おかげでろくに話せなかっただけじゃなく、熱が冷めないんですが…!! しかも歩いてる時とか咲山歩くの早いからちょっと小走り状態でしたけど! 何これ恥ずかしくて死にそう! ていうか咲山にとっては普通なのか!?私が異常なのか!? ていうかまず、何で手繋ぐことになっt「おい?」
「はぅあ!?」
「…はぅあ?」
「いっ、いや何でも…」
何だよもう恥ずかしい!何でこんなに恥ずかしいの! 咲山と関わりだしてから私常に変なったんじゃないの!? 何かもう、どんな声だよ!
「大丈夫かよ」
「だっ、大丈夫です…」
「ん、じゃぁな、初風」
ショート寸前の私の頭をぽんと一撫でして、今来た道を引き返す咲山。 その咲山の行動にショートどころではなく、心臓爆発の危機が訪れた。
気がつけば私は、私に背を向けて歩く咲山を引きとめていた。
「…初風?」
不思議そうに私を見つめる咲山。 私自身、何故咲山を引きとめたのか分からなかった。 無意識のうちに、とかそういうのじゃなくて、何かに操られているような感覚。 自分が自分じゃないようで、少し不安になった。
「咲山、」
咲山の名前を呼ぶ声が震えている。自分でも分かるほどに。 眉根に若干皺を寄せて心配そうにこちらの様子を窺っている咲山が視界に入った。
「…好、きです……ごめんなさい!」
時が、止まった気がした。 驚いたように目を見開く咲山と、 きっとガラにもなく真っ赤になった顔で咲山を見つめている私。 自分の心臓の音と、風の音以外には何も聞こえなかった。
自分の気持ちを言葉にしておよそ2秒後、 はっと我に返った私は何故か謝罪の言葉を口にして 私を引きとめる咲山の声も聞かずに家の中へ飛び込んだ。 キッチンから聞こえる母の声にも今は反応できない。
……言ってしまった。言う予定何か無かった筈なのに。 ていうかごめんなさいって何だよ、馬鹿か私は。 そこ普通は付きあってください、とかそんなのじゃないの。 …駄目だ、思考回路が繋がらない。 これからどうするんだよ、馬鹿。
頬を赤く染めたまま自室のベッドに盛大にダイブした私は、
暫くの間、クッションに顔を埋めて先程の出来事を脳内でリピートしていた。
(…明日、学校いけないじゃん)
--------- やっと此処まで来た…。 次は咲山さん視点書く予定。 ……紫恋の方も更新しなければ←
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