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一人二人と呻き声とともに倒れていく不良たち。
「…行くぞ」
そう一言だけ呟いて、スタスタと無理矢理抉じ開けた出口へと歩いていく咲山。


なんて。


そんな生温い展開は、彼に限ってありはしなかった。







「…チッ、邪魔ばっかりしやがって」


心底嫌そうに舌打ちをする咲山。
その後ろ姿は鬼にも悪魔にも勝るほどの恐ろしいオーラを発していた。


「…ケガとかしてねぇだろうな」

私の目の前に立つ咲山は数メートル先で佇む不良たちを見据えながら私に問いかけた。
「だ、大丈夫っス」
多少…いや、かなりの恐怖を感じる中、右手をあげつつ答えれば、手はあげなくていいと苦笑された。
…なんで分かったんだ、あれか、エスパーなのか。


「……窓に映ってんだよバカ」
「嘘っ!?」


「なに、さっきからゴチャゴチャやってんだあ!?ぶっ殺すぞ!!」
「うるせぇ」


不良のリーダーであろう男が痺れを切らして大声を上げた。
刹那、その男の身体が数十メートル先の壁に叩き付けられる。
だがそれだけでは終わらなかった。
リーダーの周りにいた4、5人の男たちが一斉に吹き飛んだのだ。
しかも、釘バッドで殴り飛ばした為倉庫内の床やら壁やらに不良たちの血が飛び散っている。
開いた口が塞がらないとはこのことだろう。


「おい」


「…はい?」
「ミーティングするぞ」







目の前に広がる光景は地獄絵図といっても過言ではない。


それくらい、彼はご立腹だったらしい。








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次で最終回っぽい…!


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