すれ違い
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「・・・・・・どうなってやがる」


昼休みの屋上。
俺はいつも通り、サッカー部の奴等と昼食をとりつつボソリと呟いた。
何がだよ?と首を傾げる辺見に何でもねぇよと適当に返事をして、再び売店で買ったパンに噛みつく。
無意識のうちに眉間には深々と皺が刻まれていた。


俺のイラつきの原因は初風だった。
昨日、アイツと別れて暫くしてから俺はアイツの携帯に電話をかけた。
だが、何度掛け直してもお留守番サービスとかいう妙に声の高い女が一人で喋り散らしているだけで初風の声は聞こえてこなかった。
メールも同様、初風からの返信はなく、だったら学校で直接言ってやろうと思い探しまくったが・・・。
冒頭の俺の発言で理解出来るだろうが、初風は何処にも見当たらなかった。
なんだよ畜生、避けられてんのか。


俺が舌打ちをして再びパンに噛みついた時、成神が「咲山先輩、顔怖いッス」と声を掛けてきた。


「・・・っせぇな、元々だ」
「いつも以上に怖いッスよ」
「どうしたんだ咲山、何かあったのか?」
「別に何もねぇよ」
「何もねぇ奴はそんな怖ぇ顔しねぇだろ」
「黙れデコ、殺すぞ」
「俺の扱い酷くね!?」


パンをかじりつつ成神・源田・辺見に言葉を返すが、成神と辺見に関しては面白がっているようにしか見えない。
・・・因みに佐久間は昼寝タイムだ。


「咲山先輩、誰か探してたんじゃないッスか?今日、やたらと学校中うろついてましたけど」
「なんだよ、麗亜でも探してたのか?」

ニヤニヤと口角を上げて問いかけてくる二人をジロリと睨めば、二人はすぐさま口を閉じた。
しかし、その二人に代わって源田が口を開く。


「麗亜を探していたのか」
「だから違ぇって・・・」
「ふぁ・・・あー、結構寝たー」


俺の反論を遮ったのは今の今まで昼寝をしていた佐久間だった。
片目を擦りながら身体を起こした佐久間は、麗亜?と首を傾げた。
・・・寝てたんじゃねぇのか、こいつ。


「こいつ、今日一日麗亜探して学校中うろついてたんだとよ」
先程黙らせた筈の辺見が再びニヤニヤしながら口を開いた。
・・・二度と余計なこと喋れない身体にしてやろうか。


「なんだ、残念だったなー。麗亜なら休みだぜ?」
「・・・は?」


寝起きの佐久間から発せられた言葉に俺の思考回路は一時停止した。
・・・マジかよ。



(くっそ・・・、無駄に歩いた)



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頑張れ咲山bb((


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